153:『危機管理(クライシスマネジメント)について』

 

街路樹も葉を落とし、すっかり冬景色に変わってまいりました。今年の冬は新型コロナウィルスとインフルエンザの同時流行が危惧されております。寒暖差もはげしいため、皆さまお体にはくれぐれもお気を付けください。さて今回のレポートでは危機管理について最近学んだことを記載いたします。

 

早速内容に入りますが、そもそも危機管理(クライシスマネジメント)とは何でしょうか。よくリスクマネジメントと同一のものと思われがちですが、想定するリスクに違いがあります。リスクマネジメントは「日常的で発生が予見でき、おおよその損害額を見積もられるリスク」を対象としており、危機管理は「自然災害等のリスクのように発生の可能性が予見困難で、被害額の見積もりも困難な場合」を想定したリスクへの事後策を検討します。しかし、日常的なリスクも大規模になれば危機管理が必要ですし、災害でも日常的な兆候があればリスクマネジメントの範疇に入ります。従って実務的には重複する部分もあることに注意が必要です。

 

危機管理は、あらかじめ予測することが困難である事態が発生し、それに適切に対応しなければ事業の存続が脅かされてしまうような危機に対し、いかに対応するかを検討するものです。日常的なリスクと異なり、発生してからでは管理することは困難です。従って、事前にBCP(事業継続計画)を策定し、対応を日常的に訓練しておくことが重要です。BCPは緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とすることを目指しています。そしてその実現のために平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。

社会福祉法人では令和3年4月施行の「令和3年度介護報酬改定における改訂事項について」内で、令和6年からBCPの作成が義務化されております。

近年の新型コロナウィルスの蔓延や、降雨災害など、事業活動にはリスクや危機がつきものです。持続可能な運営を行うためにも、現在の環境に適したリスクマネジメントや危機感理を法人全体として戦略的に取り組むことが重要となります。BCPをまだ策定されていない法人様は急ぎ検討していただき、既にBCPを策定されている法人様も今一度見直しを検討されてはいかがでしょうか。

 

株式会社 経営開発センター 野原 崇史

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