2023年 新年のご挨拶

令和5年 元旦

お客様各位                               

税理士法人 稲田会計   

株式会社 稲田会計事務所

グループ代表  稲田  実 

代表取締役   野崎 悦雄

専務取締役  鳥澤 靖幸

                           

新年、明けましておめでとうございます。

 旧年中は大変お世話になり有難うございました。本年も何卒よろしくお願い致します。

 

 新型コロナウイルスが発生し3年が経ちますが、飲食等事業者への営業停止・時短要請や国民への外出自粛要請は解かれ、平時に戻りつつあります。同ウイルスの変異株「オミクロン型」は「感染力は強いが重症化や入院リスクは低い」ことにより、感染者数は昨年12月中旬より激増し、中等症の患者の増加により医療供給体制にも限界が見え始めました。

治療薬のない状況の中で、患者自身の治癒力・免疫力に頼らざるを得ませんが、一日も早く治療薬の出現を望みます。

 

 私たちは、自粛生活や非対面の仕事にも慣れましたが、少しずつ規制も解かれ、飲食業・ホテル業・交通機関など接客・サービス業に賑わいが戻ってきました。

コロナ禍4年目を迎え、これまでの自粛対策だけでなく、新型コロナ感染症に対する治療が進み、新型コロナウイルスは怖くないというステージに進み、私たちの暮らしや経済が開放に向かっていくことを願います。

 昨年2月、突然ロシアのウクライナ侵攻は、私たちに大きな衝撃を与えました。最近の戦争では、20年~30年前の第一次、二次湾岸戦争が思い出されます。

1990年8月イラクのクウェート侵攻に対し、米国、英国、フランス等多国籍軍は、イラクに対し撤退要求と経済制裁を課し、1991年1月空爆と2月地上戦へ。1か月後イラクは敗北し、4月に和平条件である国連安保理決議を受け入れ、戦争の終結をみます。

12年後、イラクの武装解除の査察受入れ拒否や大量破壊兵器保有疑惑に端を発し、フセイン政権打倒のため、2003年3月イラク戦争へと突入します。5月には戦闘の終結宣言が出されましたが、イラク国内の治安悪化が問題となり、戦闘は続行しました。2010年8月オバマ米大統領が「戦闘終結宣言」をし、米軍の撤退となりました。

 戦争突入後2ヶ月でフセイン政権を打倒しましたが、戦争の終結には7年以上費やしています。戦争の終結には時間がかかり、朝鮮戦争のように終結を見ないまま現在に至っているものもあります。

戦闘を繰り返しながら、和平交渉を進めていきますが、交渉は停滞し、中断と再開を繰り返しながら、双方が落ち着くところを見出すまで時間のかかるものです。

長期戦になると経済力や技術力(特にハイテク技術)に勝る方が有利となりますが、NATOが支援しているウクライナと孤立状態のロシア、終結への行方はどうなるのでしょうか。

平和な生活を送っている私たちは、戦争の怖さを知りません。戦争は相手の弱点を攻め、軍事施設だけでなく、民間施設や市民の生活圏を奪います。これから厳冬期に入りエネルギー施設などインフラ、住居・民間施設の破壊により、相手に大きなダメージを与えることになります。これを悪と批判することもできますが、勝つために手段を選ばない、これが戦争です。ただ市民が激寒の冬をどう凌ぐのかを考えると心が痛みます。

 今回ロシアのウクライナ侵攻は、我国の国防に対する意識を一変させることになります。

公明党、維新の会、国民民主党は勿論のこと、立憲民主党も、安保環境の変化を受けて反撃能力の保有や防衛費の増額の検討を始めました。

 自国を守ることに責任を持たない国は、友好国から見放されることをウクライナは教えてくれました。

 

 戦争は世界各国の経済を震撼させます。欧州連合はロシアに対する経済制裁として、石油のパイプライン以外の輸入禁止と新興国や途上国を想定した1バレル60ドルの価格上限制度を発動しました。この経済制裁はロシアのみならず、エネルギー資源をロシアに頼る中国や新興国、途上国のみならず、西側諸国にも大きな打撃を与えることになります。

 我国の石油の95%は、中東の産油国に頼っているため、直接の影響はないものの、

中東への依存度が突出しているため、ロシアでの資源開発事業「サハリン2」に調達を増やしたところ、ウクライナ侵攻が起きました。この事業は同経済制裁の対象外となりましたが、戦争下において「サハリン2」の事業の行方を懸念するところです。

最近の経済トピックスを挙げてみました。

(世界の景気悪化の兆しが見える)

 世界では景気悪化の兆しが出ており、その筆頭が欧州経済です。欧州連合(EU)の経済担当委員は、「高いインフレに直面する欧州経済はこの冬に景気後退に陥り、成長回復は来春以降になる」との見通しを示しました。

 中国はゼロコロナ政策の影響で、コロナは封じ込めたが経済活動に深刻な影響が出ており、さらにゼロコロナ政策を緩和する政策に転じたものの、急激な感染拡大が収まらず、

経済活動再開の本格化はまだ見通せない状況です。

 また原油相場について、22年2月ウクライナ侵攻後、120ドル/バレルまで上昇するが、年半ば以降下降し、12月末日には70ドルに収まりました。景気悪化への警戒感がその要因です。

 

(日本企業のサプライチェーンの見直し)

日本経済新聞の主要製造業100社への調査によりますと、

米中対立の激化を受けて日本の製造業である企業が、部品などの調達で、中国に頼らないサプライチェーンの構築を急ぎ始めています。中国の台湾有事やゼロコロナ政策による都市封鎖への懸念がその理由であるとのことです。

 中国への依存度が8割以上あると答えた企業が38%あり、中国に代わる新たな調達先として86%の企業が日本を挙げました。円安に加え、賃金の上昇が緩やかなことから、海外生産より国内生産の方がコストを抑えられるとみているようです。

(日銀の長期金利の上限0.5%へ)

 令和4年12月20日、日銀は長期金利の上限を0.25%から0.5%へ引き上げる方針を発表しました。デフレ脱却を目指してきた大規模な金融緩和は10年目を迎え、転換を図ることになりました。

米連邦準備理事会(FRB)が利上げに踏み切り、円安・ドル高が加速し、10月には1ドル151円まで進む。日銀の方針転換により、1ドル131円まで円が回復した。

円安を解消すれば企業の輸入コストは下がり、物価高を抑えることになる反面、住宅ローンの固定金利の上昇や企業向け貸付金利の引き上げにより、住宅投資を抑え、企業活動にブレーキがかかれば、賃上げ気運に水を差すことになりかねず、さらに消費抑制につながります。

 我国は長い間、脱デフレに取り組んできましたが、いよいよインフレ時代に突入することになります。

 企業は賃上げを実施すると共に、コスト高を価格に転嫁することが求められます。

立場の弱い中小企業は、経営不振につながりかねず、ここで経営改善や経営革新に着手し、企業の強みを発揮することによりこの難局を乗り切ることを望みます。

 

(コロナ禍による我が国の出生数の激減)

 出生数について、2021年は81万1千人ですが、2022年は前年比5%減少しているとのことです。コロナ禍が続き出生減に歯止めがかからない状況であり、このままでは30年後の出生数は年50万人程度となる、とのことです。

コロナ禍で出生率が下がった国は日本、韓国、イタリアなど。米国、フランスは回復傾向に入ったとのことです。

 

(ドイツ、20年超かけ出生率向上)

 出生率の回復には、男女とも柔軟な働き方ができる環境づくりが不可欠とのこと。

ドイツの出生率について、1990年代1.3が2021年には1.58に回復しました。

2007年に「両親手当」導入。母親の育児休業手当12カ月分+父親育児休業手当2か月分が支給され、男性の育児休業取得が飛躍的に伸びました。

2015年、育児休業手当を受けながら短時間勤務をする場合の給付金減額をなくし、国、地域、企業が一体となって父親の育児休暇取得と母親の早期復職を同時に促進させた。

 ちなみに日本の場合、「出産・子育て」現行42万円ですが、2023年度から50万円に引き上げることを政府は発表しました。少子化対策としての効果に疑問が残ります。

 

(多様な家族を認めるデンマークの高出生率)

 家族の多様性を認める国は出生率も高い、その代表例はデンマークです。(デンマークの出生率は2017年1.75)

家族の幅広い在り方を認め、それを支える自由と責任が国の制度として確立しています。

法律婚によらないパートナーシップの選択ができます。

子供の養育費は生物学上の両親が負担し、互いに相続権を有し、子供は父親の姓を持つことができます。

 

(タクシー業界EV車の普及が始まる)

 タクシー配車アプリを運営するM0Tは全国で2500台のEV車(電気自動車)を運用すると発表した。2031年までに100のタクシー会社に車両を提供し、効率的な運行方法の検証実験を行う。EV充電器を配備し、年間3万トンのCO2排出量の削減を見込む。

 実証実験の事業規模は280億円を見込み、エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が160億円助成する。タクシー会社の営業所などに2900基のEV充電器を配備すると共に、電気料金の安い時間帯をAIで割り出し、運転手の勤務予定や顧客の需要を加味し運航効率を損なわず充電計画を立てるシステム開発を行う。

 またタクシー会社大手の第一交通産業は22年度、23年度に100台のEV車を導入し、配車システムの電脳交通と連携して、充電タイミングなどの効率化を図る実証実験を始めた。京都市の3社が日産サクラの運行を始めるなど業界の普及の兆しが見える。

 EV車の普及が見込まれる背景として、現在燃料の主流であるLPガスの供給インフラの過疎化がある。全国LPガススタンド数は1989件をピークに、現在1200件まで落ち込んでおり、一方EVの公共用充電スタンドは2万9千基で増加基調にあり、経済産業省は2030年までに15万基を設置する目標を掲げている。

 

(空飛ぶタクシー、夢の世界がやってくる)

 空を自由に飛べる日がやってくる。1969年からドラえもんが雑誌に連載されましたが、その半世紀後、ドラえもんの世界が実現します。

 「空飛ぶタクシー」と呼ばれる電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発する英国 バーティカル・エアロスペース社は、運用費がヘリコプターの3割程度になる見通しを示す。

 2025年の大阪万博でデモストレーション飛行をし、早期の実用化を目指す。

同社が開発している「VX4」は乗客4人乗りで最高時速325km、ヘリより100倍静かで100倍安全であるとのこと。また運用費はヘリの3割程度に抑えられ、成田から都心まで1万円程度になる可能性があり、富裕層だけでなくビジネスマンなど幅広く想定しているとのこと。

空港や都心のほか、離島などをつなぐ交通手段として期待されており、すでに世界の航空会社から1400機を受注している。2年後の大阪万博が楽しみです。

4年目を迎えるコロナ禍の中、ロシアとウクライナの戦争、米国と中国の対立、インフレへの転換など、私たちにまた新な課題が与えられました。

私たちの産業社会は、未来に向かい、次の課題に対して確実に進歩していきます。

(1)人材の生かし方とライフ・ワークバランスの取組み

(2)デジタル社会の実現(第四次産業革命)

(3)脱炭素社会の実現、CO2削減と再生可能エネルギーの普及拡大

令和5年10月1日より、消費税インボイス制度が導入されます。さらに令和6年1月

1日より改正電子帳簿保存法の本格施行が求められます。

 両制度の導入に向けた、タイムリーな情報提供やご提案、打合せをさせていただき、経理業務が効率的に、かつ円滑に進行していくことを願っています。

 

 弊事務所ではお客様の税務・会計の支援を基本に、財務面からの経営助言・経営支援を、さらに事業承継支援や経営改善支援を行っていますが、お客様の事業の繁栄を願い、職員一同研鑽して参りますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

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 本年は“癸卯(みずのとう)”の年です。癸は“物事の終わりと始まり”を意味し、卯は“安全や温和、また跳びあがる”を意味します。

 これまでの努力が実を結び、勢いよく成長、飛躍する年と言われています。また何かを開始するのに縁起が良く希望に溢れ、景気が回復し、好転する良い年になると言われています。

 

皆様方におかれまして,良き一年であることを祈念申し上げます。             

                    

年頭に当たりまして、先ずは書面を持って謹んでご挨拶申し上げます。   

 

 

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