2024年 新年のご挨拶

令和6年 元旦

お客様各位                               

税理士法人 稲田会計    

株式会社 経営開発センター

グループ代表  稲田  実 

代表取締役   野崎 悦雄

専務取締役  鳥澤 靖幸

                           

新年、明けましておめでとうございます。

 旧年中は大変お世話になり有難うございました。本年も何卒よろしくお願い致します。

 

 新年を迎えるに当り、一言ご挨拶申し上げます。

 

 国内で新型コロナウイルス感染症の第1例目が確認されてから4年が経とうとしています。昨年5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類感染症」に移行されました。これは、これまでの法律に基づき行政が様々な要請・関与をしていく仕組みから、個人の選択を尊重し、国民の自主的な取組を基本とする対応に転換することを意味します。このことにより、公費負担であった検査費や医療費は自己負担になりました。

 私たちは、自粛生活や非対面から解放され、人との交流や会合、旅行など対外活動が活発になり、飲食業・ホテル業・交通機関など接客・サービス業に賑わいが戻ってきました。   

また訪日外国人旅行者数も大幅に回復しており、日本政府観光局によると、訪日外国人旅行者数が、令和5年10月は251万人となり、コロナ後初めてコロナ前(2019年)の実数を上回りました。国別でみると(多い順に)韓国が63万人、台湾が41万人、中国が25万人、米国が21万人、香港が18万人となっています。

 韓国は2019年比120%増、中国は同年比65%減となっていますが、いずれも対日関係における国情が反映していると思われます。

 2022年2月に勃発したロシアのウクライナ侵攻から2年を迎えようとしていますが、ロシアとウクライナの双方が武器、弾薬が不足する中、ウクライナは東部・南部の奪還を目指し攻勢をかけますが、停滞しており、こう着状態が続いています。

 武器・弾薬をEUなど西側諸国の支援に頼らざるを得ないウクライナと、経済力・ハイテク技術に劣るロシアの一進一退の状況が続き、解決に向けた話合いには至りません。

 長期戦になると国力で勝るロシアが優位であるといわれています。

 ウクライナはEUの一員ではなく、ウクライナ支援に消極的な国もある。またEUの経済は停滞しており、米国は新たなイスラエル問題を抱え、時を経れば新たな問題を抱えることになり、ウクライナ問題は後回しになることになります。

 小国であるウクライナが長期にわたり西側の支援が得られるのか。兵力が続くのか、またウクライナ国民の士気を維持できるのかを考慮するとウクライナにとって厳しい状況であるといえるでしょう。

 2014年、ロシアはクリミア半島を武力支配し、ロシア併合を宣言しましたが、「ロシアのクリミア併合は違法であり、ロシアによる占領」と国連総会決議に定めている。

 ゼレンスキー大統領はクリミア半島奪還を求めており、クリミア半島をロシアに譲ることは、ロシアの違法な占領を認めることになり、さらにロシアの近隣国への脅威が増すことになる。またこれが世界に蔓延し、中国の台湾やアジア諸国への侵攻へと広がる。

 ゼレンスキー大統領は、インタビューで「戦争に巻き込まれず、誰も奪われることがない人々には、戦争がもたらす本当の意味や結末を分かってもらえない」と応えています。

 

 昨年10月7日イスラム組織ハマスがイスラエルに対し大規模な攻撃をしかけ、イスラエルは少なくとも1300人の死亡、200人の兵士、民間人が拉致されガザ地区に連行されました。 

 これに対しイスラエルはパレスチナ自治区ガザを空爆する。9日イスラエルは予備役30万人を招集し、13日ガザ地区北部の全住民110万人に対しガザ南部へ退避するよう通告する。17日ガザ病院を爆撃し471名を死亡させ、その後次々と病院など施設を爆撃し、ガザ地区当局者は、(令和5年12月20日現在) 死者2万人超、行方不明者6700人と発表しました。

 ハマスは、イスラエル軍がガザ地区での軍事作戦を完全に停止するまでは、人質とイスラエルの刑務所に収監されているパレスチナ人の交換の協議に一切応じない考えを表明しました。

 イスラエルのガザ地区への攻撃は一方的で、パレスチナ人への迫害に近いものでもあり、人道的に許されるものではありません。

 米国は、この戦闘についてイスラエルを支持しながら、パレスチナ人の犠牲者が2万人を超えると、この惨事を憂いると表明していますが、これを容認しているのは米国です。世界の番人(警察官)としての誇りは、何処へ行ったのでしょうか。

(参考までにイスラエルの国の成り立ち、ガザ地区紛争の歴史を別紙に述べます。)

 

 イスラエル軍の攻撃が激化する中、昨年11月30日から12月13日において、アラブ首長国連邦のドバイでCOP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)が開催され、世界中から197か国、8万人が参加しました。

以下「日経新聞編集委員 松尾博文様」の記事を紹介します。


「COP28で顕わになったのは議事の分断であった。先進国は「温暖化対策はこの10年が決定的に重要だ」という。これに対して途上国は「化石燃料を自由に使って成長したのは先進国ではないか」と反発した。

 ヨルダンのアブドラ国王は「私たちの周りで起きている人道上の悲劇と気候変動を切り離して語ることはできない」と訴えた。

 ガザを起点とする衝突は、アラビア半島を一触即発の状態に追い込んだ。ハマスに連帯するイエメンのイスラム教シーア派武装組織フーシは紅海でイスラム関連船舶への無差別攻撃を始めた。ハマスやフーシと繋がるイランをけん制する米国は空母打撃群や攻撃型原子力潜水艦をペルシャ湾に派遣する。

 途上国や産油国も温暖化の脅威は否定しない。エネルギー転換の長い移行期は化石燃料の需要は減少に転じていくが、化石燃料を上手に使い、安価で安定的なエネルギー供給を確保できなければ脱炭素の議論は空回りする。

「中東の安定供給なくして脱炭素なし」「パレスチナ問題の解決なくして中東の安定なし」の2つの方程式を満たす解を探る必要がある。この必要性に気付くことがドバイで開いたCOP28に意味がある。

 

 日本は原油の9割をアラブ産油国から輸入しており、日本を含むアジア諸国は、ペルシャ湾及び紅海の航路は変更を余儀なくされ、今後コスト高が懸念される。

 

 今産業界において注目されている、AI(人工知能)、生成AIの特徴とリスクについて述べます。

  • 特徴

 生成AIは、AIの一種であり、従来のAIが分野を限定して既存情報だけから解を導くの

に対して、生成AIは指示を受けてから関連情報を収集し分析し、自身の持つ情報と組み合わせて新たな解を創出するソフトウェアである。AIの要件である学習機能はどちらも有するが、常に新しい情報を取込みながら最適解を生成するという点で違いがある。

 メール作成、マニュアル作成、文章要約等の様々な知的作業を、業種を問わないビジネ

スシーンで利用され始めている。

 代表的なツールはOpenAI社の「ChatGPT」。質問を投げて回答をもらうというQ&A型の チャット形式の使用が一般的だが、成果物は文章、音声、画像、コンピュータプログラム等のクリエイティブ系全般にわたり、しかも数秒~数十秒の処理時間で創り出す。

 成果物のレベルは専門のプロフェッショナルのそれと遜色ないので、知的労働者の多く

の仕事を奪い取るのではと危惧されている。

 三菱UFJ銀行の試算によると、「自行における生成AI適用に伴う業務削減時間は月間22万時間を超える」とのこと。

 サプライチェーンにおいては需要予測、自動受発注、注文トレース、機械設備の故障予

知等々、適用場面は多い。

日本はデジタル化において大きく後れをとり、日本企業の存在感は薄れたが、日本政府

は生成AIの普及が進む今こそ挽回のチャンスと捉えている。

■リスク

 生成AIを巡る企業間の競争を野放しにすると安全対策が疎かになるし、国際社会では

偽情報や安全保障上の脅威が広がって、民主主義国家にこそ悲惨な結果をもたらす可能性

がある。

 政府は、人工知能の安全性を評価する専門機関を2024年にも設ける検討に入った。

AIにより武器、生物兵器の製造方法が伝わるなど安全保障にかかわるリスクやサイバー攻撃への対応などセキュリティー上の問題、さらにAIが制御不能にならないか、誤情報、偏見を拡散する懸念などを検証する。

 G7(主要7か国)は昨年12月6日に最終合意した生成AI に関する国際指針は、市場投入

前に第三者によるリスク評価を受けることをAI開発企業などに求めた。新設する機関が

この役割を担う可能性がある。米国、英国は研究所を設けその取り組みを進めている。

 2019年にノーベル経済学賞を受賞したMITのアビジット・バナジー教授は“AIによ

って雇用機会が失われていく近未来に備え、どうあるべきか”について次のように説いて

います。

「AIの発展は、私たちの産業社会に大きな変化を促す。AIテクノロジーとグローバルな市場との統合は巨大な富を作ることになる。その中で高スキル技術者の賃金は上昇し、低・中級技能者の賃金は低迷し、やがて雇用の機会が失われると考えざるを得ない。

 低・中級技能者はスキルアップし、時代が求める新しい仕事につけるかどうかが問題となる。

 重要なカギは教育であり、これから取り組むべきはAIを教育に活用すべきである。教育現場においてAIを創造的に用いることができれば、人々が社会に即した高いスキルを効果的に身につけるための大きな後押しになるだろう。そして今まで存在しなかった新しい仕事が生まれるかもしれない。また医療や福祉分野において大きな成果を発揮するだろう」

 

 “AIが人間の労働を代替していくことで、働かなくてもいい社会は人を幸せにするのか”の問いかけに

 「人は労働を手放すと途方に暮れてしまう。働かなくてもいい社会が到来したとすると、自分の時間を何に使うのか。自分の好きなことをすればいいが、それを見つけることは簡単ではない。働くことを選ぶことになる人が多いと思われる。働かない人は精神的不安定な状態に陥る恐れがある」

 

 英国で昨年11月にAI安全サミットが開催され、英王立国際問題研究所のニッキ・スン氏はその議論の内容を次のように紹介しています。

・AIがもたらす潜在的リスクは新興・途上国を差すグローバルサウス(インド、ベトナム、バングラデシュ、インドネシアなど)の約60億人にとって懸念すべきものである。

・グローバルサウスが世界のAIバリューチェーンで日々のシステムの運用を支えているが、より高度なAIモデルを開発すると、中技能職は職を奪われ、新たな低位な低賃金の仕事が生み出され、グローバルサウスがその受け皿となる恐れがある。

・現在のAI革命は雇用の偏在を助長し、世界で格差を広げる可能性がある。

 

 新型コロナウイルス感染の収束を迎えましたが、ロシアとウクライナの戦争の停滞・長期化、イスラエルとパレスチナの紛争、米国とロシア・中国の対立、コスト高、インフレ経済への転換など、私たちにまた新な課題が与えられました。

私たちの産業社会は、未来に向かい、次の課題に対して確実に進歩しています。

(1)人材の生かし方とライフ・ワークバランスの取組み

(2)デジタル社会の実現(第四次産業革命)

(3)脱炭素社会の実現、CO2削減と再生可能エネルギーの普及拡大

 令和5年10月1日より、消費税インボイス制度が導入されました。さらに令和6年1月1日より改正電子帳簿保存法の本格施行が求められます。

 両制度の導入に向けた、タイムリーな情報提供やご提案、打合せをさせていただき、経理業務が効率的に、かつ円滑に進行していくことを願っています。

 

 弊事務所ではお客様の税務・会計の支援を基本に、医業に特化した経営助言・情報提供を、さらに医療法人設立等の事業展開支援や事業承継支援を行っていますが、お客様の事業の繁栄を願い、職員一同研鑽して参りますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

 

 本年は“甲辰(きのえたつ)”の年です。甲は“命の始まり、物事の始まり”を、辰は“陽の気が動き、草木がなびいて大きく成長して、形が整っている様子”を意味します。

 これまでのコツコツと蓄えられた学びが芽を出し、活力に満ちた草木のようにまっすぐと伸びて努力が花を咲かせる年と言われています。また足元をしっかり踏みしめていくことで道が開き、それが後に大望をかなえる鍵となると言われています。

 

 皆様方におかれまして,良き一年であることを祈念申し上げます。             

                    

 年頭に当たりまして、先ずは書面を持って謹んでご挨拶申し上げます。   

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