新たな事業年度がスタートし3ヶ月半が経過しました。この3ヶ月間は事業報告書や決算書の作成、行政等への提出資料の作成などもあり、あっという間の3ヶ月ではなかったでしょうか。
さて、皆様方の中にも気にされていた方もいらっしゃったかと存じますが、厚生労働省は平成25年9月から外部有識者等で構成する「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」を立ち上げ、議論を重ね、平成26年6月16日、社会福祉法人制度の見直しについて(案)を大筋でとりまとめました。
社会福祉法人制度については、平成12年の社会福祉基礎構造改革以降、大きな見直しは行われていなかったが、その後の10余年の間に、社会福祉法人を取り巻く状況は大きく変化し、社会福祉法人制度の意義・役割を問い直す指摘もされております。
その指摘(現状の社会福祉法人の課題)として、①地域ニーズへの対応、②財務状況の不透明さ、③ガバナンスの欠如、④内部留保の活用、⑤他の経営主体との公平性(イコールフッティング)が意見としてあがっております。これらの指摘を受け、この度の報告書案の見直しにおける論点は以下の表の通りとなっております。
【報告書案の見直しにおける論点(福祉新聞より一部抜粋)】
公益的な活動 |
・「地域における公益的な活動」の実施をすべての社会福祉法人に法律で義務付け、その内容はそれぞれの地域で定める(特別の事情がなく、一定期間実施しない法人については行政指導の対象とする) |
組織の体制強化 |
・すべての社会福祉法人に評議委員会を設置する(経過措置も検討) ・資金管理を施設単位から法人単位とする(法人本部機能の強化) |
透明性の確保 |
・財務諸表の公表を法律上の義務とする ・地域における公益的な活動を併せて公表する |
規模拡大・協働化 |
・合併、事業譲渡が公正に行われるよう要件や手続きを見直す ・複数法人による事業の協働化を図るため、役職員の相互兼務を認め、法人外への資金拠出の規制を緩和する |
法人の監督の見直し |
・社会福祉法人の設立認可の要件に、ボランティアやNPOでの活動実績を加える ・第三者評価の受審を促す |
「地域における公益的な活動」の公表について、法律として施行されれば、会計区分を新たに策定し公表していくことも視野に検討する方向性が示されておりますので、今後の法改正の動向で経理規程等の改正が必要になる可能性もございます。
今後、早ければ7月中に社会保障審議会福祉部会を立ち上げ、2015年の通常国会で社会福祉法など関係する法律を改正する見込みとなっております。
これから増大していく福祉ニーズに貴法人としてどのように取り組んでいくか、社会福祉法人の存在意義が改めて問われているのではないでしょうか。
株式会社 経営開発センター 福祉経営部 稗田 修生 |