123:『同一労働同一賃金への対応に向けて』

 6月も後半になり、定時評議員会の開催でお忙しくされていることと存じます。

 

 皆様の施設では、2019年4月に施行された働き方改革関連法を受け、年5日の年次有給休暇の取得義務、又は残業時間の上限規制等を中心に、具体的対応を進めておられることと思います。

 この度は、最近、お客様からご相談の声が出始めた、今後実施が予定されている同一労働同一賃金(大企業2020年4月1日、中小企業2021年4月1日)について、レポートしたいと思います。

 

 パートタイム・有期雇用労働法の改正のポイントとして、「労働者に対する待遇に関する説明義務の強化」が行われています。

 短時間・有期雇用労働者から求めがあった場合には、事業主は、通常の労働者との間の待遇差の内容、その理由について説明することが義務化されることになっています。

 皆様の施設においても、正職員、パート職員、契約職員、嘱託職員等、多様な雇用形態があり、それらに応じて、基本給、手当、賞与、福利厚生等の取扱いを定めていると思います。待遇差の内容やその待遇差の理由は「説明できる状態」になっていますでしょうか?

 施設により状況は異なると思いますが、部分的に、「合理的に説明することは困難」となっているケースも多いのではと思います。

 なお、不合理な待遇差の解消を検討する上で、基本となる考え方には、「均等待遇」と「均衡待遇」の2種類あり、対応方法も異なるため注意が必要です。

均等待遇

短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間で、①職務の内容、②職務の内容・配置の変更の範囲が、同じ場合

待遇について同じ取扱いをする必要があります。同じ取扱いのもとで、能力、経験等の違いにより差がつくのは構いません。

均衡待遇

短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間で、①職務の内容、②職務の内容・配置の変更の範囲、③その他の事情、が異なる場合

違いに応じた範囲内で待遇が決定される必要があります。

※待遇とは、基本給、賞与、手当、福利厚生、教育訓練、安全管理等の全ての待遇のこと。

 

 まずは、均等待遇」とすべき短時間・有期雇用労働者はいないか均衡待遇」の短時間・有期雇用労働者で、「説明が困難」となる待遇がないかを調査点検していく必要があると思います。

 また、見直しが必要となった場合においては、人件費増を伴う可能性もあるため、一定の時間をかけて議論する必要があろうと思います。

 

 今後検討を進められる際に、ぜひ参考にして頂きたい資料として、厚生労働省から「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル」(福祉業界編)が示されていますので、ぜひご一読ください。(全90ページ程の資料ですが、大変分かりやすく具体例・ワークシートが示されています。)

株式会社 経営開発センター 野崎 悦雄

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