122:『目標設定の目的と主語』

 5月も後半になり、理事会・定時評議員会の準備、開催とお忙しくされていることと存じます。4月からの新入職員の入社、人事異動といったイベントもあり、新たな環境や心境でお仕事をされている方も多いのではないでしょうか。

 

 今年度、主任やリーダーといった役職に就かれた方も多くいらっしゃると思いますので、この度は『目標設定の目的と主語』をテーマにレポートさせて頂きたいと思います。

 

 突然ですが、皆さまは「目的」と「目標」の違いを考えられたことはありますか?簡単に下記にまとめさせて頂きます。

 

定義<ご参考>

例<ご参考>

目 的

成し遂げようと目指す事柄

●「人材(財)育成」というテーマの場合、

・社会、地域に喜ばれるスタッフを育成する

・公私ともにスタッフの幸せを実現する

目 標

目的を達成するために設けた、めあて

●「人材(財)育成」というテーマの場合、

・挨拶、報告・連絡・相談、マナーをレクチャーする

・三大介護を適切・丁寧に行えるようレクチャーする

 「目的」を実現するために、それに向かって行動していくものが「目標」です。普段のお仕事に忙殺されている中では、いつのまにか「目的」がどこかに消え、「目標」だけが一人歩きをしてしまうケースも多いですが、変化が激しく先が見えないとき、無力感・閉塞感が漂うときこそ、その先の「何のためにこの行動をしているのか」という本来の「目的」を見失わないことが大切です。

 

 私がご支援をさせて頂いているお客さまで「目標設定は何のためにしていますか?」というご質問に「人事考課制度のためです」「評価のためです」と答えられる方は多いですが、「人材(財)育成のためです」と答えられる方は少なく感じます。どちらか良いとか悪いではなく、どこに「目的」を置くかで、その取組み(目標)への力の入れ方(モチベーション)が大きく変わってくると思います。

 

 次に目標設定における「主語」について考えてみます。

 例えば、上司Bさんの目標で、「部下Aさんが自分一人で新規のレクレーションの企画を行ない、やる気を出して取り組む」という目標があったとします。この目標を見られて、皆さまはどう感じましたか?

 

 上司Bさんの目標設定は「他人事」と感じられた方は「正解」だと思います。この目標では部下Aさんの取組みは分かりますが、「Bさんは何をするのか?」が分かりません。他者の感情や行動は、誰かが自由にコントロールできるものではなく、他者の変化や成長だけを目標に設定することは適さないと考えられます。

 上記のBさんの目標設定は極端に表現をさせて頂きましたが、日常の仕事においてこの様なケースに出会うことはあるのではないでしょうか。

 

 本日、レポートをさせて頂いたこと以外にも目標設定において「法人の目標と連動しているか?チャレンジ性はあるか?具体性はあるか?ゴールは明確か?」等、大切なことは多くあると思いますが、この機会に「目的・主語」について是非、今一度、見つめ直してみられてはいかがでしょうか?

 

株式会社 経営開発センター 松本 和哉

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