社会福祉法人の皆さまにおかれましては、3月理事会・評議員会の対応でご多忙の日々を過ごされたことと存じます。法改正に関する議案の影響もあり、弊社お客様においても、大変多くの議案数を審議されていました。
皆さまの法人においても、予算等の審議が行われたと思いますが、平成28年度の決算見通し(最終補正予算)、平成29年度の見通し(当初予算)はどのような状況になりましたでしょうか?
報酬のマイナス改定、稼働率の低下、人件費上昇等の影響により、収支状況の悪化や、決算見通しの下方修正を余儀なくされるケースが年々増えてきたように感じており、大変危機感を持って見ています。
また、平成29年度についても、月額1万円相当の処遇改善を行う加算区分が設けられますが、加算額以上の人件費の改善が必要であることから、人件費率は更に上昇するものと予測されます。
厚生労働省において実施された「平成28年度介護事業経営概況調査結果」においても明らかになっていますが、報酬改定の影響により、収支差率は、年々低下している大変厳しい状況を示しています。
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24年度決算 |
26年度決算 |
27年度決算 |
介護老人福祉施設 |
7.5% |
3.0% |
2.5% |
通所介護 |
8.6% |
7.7% |
6.3% |
また、平成30年度には、介護報酬・診療報酬の同時改定を控えており、今後ますます収支悪化が見込まれる中で、“数値に基づく経営”の重要性を改めて実感している所です。
“数値に基づく経営”とは、客観的なデータに基づいて経営の舵取りを行っていくことであり、次のような取り組みを行うことが重要と考えます。
①経営分析により問題とその原因を明らかにする。(財務分析・生産性分析・職員満足度調査等)
②測定可能な管理指標の目標値を明確化する。(稼働率、利用者数、職員配置等)
③月次決算により数値を見える化し異常を早期に発見する。(利用者数・職員配置・主要項目)
④部門責任者の経営参画意識・計数意識を高める。(実績検討への参画・会計勉強会)
新年度を迎え、改正社会福祉法が完全施行となりました。今まで以上に役員等の経営責任が問われる時代となります。まずは数値に基づいて、経営状態の再点検を実施されてはいかがでしょうか。
株式会社 経営開発センター 野崎 悦雄 |