レポート:98『数値に基づく経営の重要性』

 社会福祉法人の皆さまにおかれましては、3月理事会・評議員会の対応でご多忙の日々を過ごされたことと存じます。法改正に関する議案の影響もあり、弊社お客様においても、大変多くの議案数を審議されていました。

 

 皆さまの法人においても、予算等の審議が行われたと思いますが、平成28年度の決算見通し(最終補正予算)、平成29年度の見通し(当初予算)はどのような状況になりましたでしょうか?

 報酬のマイナス改定、稼働率の低下、人件費上昇等の影響により、収支状況の悪化や、決算見通しの下方修正を余儀なくされるケースが年々増えてきたように感じており、大変危機感を持って見ています。

 また、平成29年度についても、月額1万円相当の処遇改善を行う加算区分が設けられますが、加算額以上の人件費の改善が必要であることから、人件費率は更に上昇するものと予測されます。

 

 厚生労働省において実施された「平成28年度介護事業経営概況調査結果」においても明らかになっていますが、報酬改定の影響により、収支差率は、年々低下している大変厳しい状況を示しています。

 

24年度決算

26年度決算

27年度決算

介護老人福祉施設

7.5%

3.0%

2.5%

通所介護

8.6%

7.7%

6.3%

 

 また、平成30年度には、介護報酬・診療報酬の同時改定を控えており、今後ますます収支悪化が見込まれる中で、“数値に基づく経営”の重要性を改めて実感している所です。

 “数値に基づく経営”とは、客観的なデータに基づいて経営の舵取りを行っていくことであり、次のような取り組みを行うことが重要と考えます。

①経営分析により問題とその原因を明らかにする。(財務分析・生産性分析・職員満足度調査等)

②測定可能な管理指標の目標値を明確化する。(稼働率、利用者数、職員配置等)

③月次決算により数値を見える化し異常を早期に発見する。(利用者数・職員配置・主要項目)

④部門責任者の経営参画意識・計数意識を高める。(実績検討への参画・会計勉強会)

 

 新年度を迎え、改正社会福祉法が完全施行となりました。今まで以上に役員等の経営責任が問われる時代となります。まずは数値に基づいて、経営状態の再点検を実施されてはいかがでしょうか。

 

 

株式会社 経営開発センター 野崎 悦雄

カテゴリー: NEWS&TOPICS, 最新情報, 福祉セミナー&トピックス, 福祉経営コンサルティングレポート   パーマリンク