明けましておめでとうございます

平成30年 元旦

お客様各位                               

税理士法人 稲田会計   

株式会社 稲田会計事務所

グループ代表  稲田  実 

代表取締役   野崎 悦雄

                           

 新年、明けましておめでとうございます。

 旧年中は大変お世話になり有難うございました。本年も何卒よろしくお願い致します。

 

平成29年において、1月にトランプ米大統領就任「米国第一主義」宣言、中国の軍事・経済両面の台頭、北朝鮮のミサイル発射による戦争危機、中東紛争等様々な問題が起こりました。

経済面において、産油国協調減産により原油価格が安定(1バーレル当り50~55ドル)、 

米国、中国、アジア向け輸出が増加基調で、クラウド化やIoT等の世界IT需要の好調に基因して電子部品・デバイス類が堅調です。

また新興国での製造業の高度化や世界的な自動化・省力化の流れは、わが国が強みとする高機能産業機械や産業用ロボットの輸出の追い風となっています。

企業活動を見ると、平成29年10月の鉱工業生産指数は電気機械や自動車部品を中心に生産が回復し、12月以降は企業の設備投資意欲の高まりと輸出増加を背景に増産傾向が続く見通しです。

インバウンド需要は堅調であり、平成29年は日外国人客数が2800万人(平成28年は2400万人)となり、今後アジア新興国の所得拡大、宿泊施設増加など受け入れ環境整備の進展等、インバンド需要は引き続き堅調に推移すると思われます。(2020年東京オリンピックの年には4000万人、8兆円の経済効果の見込み)

わが国経済の好調さは雇用の増加をもたらし、完全失業率は平成29年12月時点で2.7%となりました。

日経平均株価において、平成29年1月から19千円前後で推移し、5月には20千円近く上がり、9月から20千円を越え、11月7日には23千円まで上昇しました。12月は22千円~23千円と堅調に推移しています。

平成29年のドル/円レートは、1年を通して110円~115円を推移し、為替変動による大きなリスクは発生せず、わが国の輸出関連産業にとって比較的安定した取引条件が整った年でもありました。

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昨年の年始のご挨拶におきまして、伊那食品工業㈱のお話を書かせていただきました。同社は現在、年商180億円、売上経常利益率10%以上、社員数550名、寒天製造 国内シェア80%、海外シェア15%であり、59年間成長をし続けている超優良企業であります。同社は「売上や利益の数値目標を掲げていません。売上や利益の数値は自然体の年輪経営の結果であり、あえて目標を掲げる必要はない、社員一人ひとりが能力を十分発揮して色々な面で成長できることを目指している」とのこと。「創業以来、社員を雇い、給料とボーナスを上げてきた。またこれまで一度も社員のリストラをやったことはない」また「残業時間は殆どゼロで、家庭生活を充実する時間に充てることができる」ことを誇りとし、次の独自な経営観を極めてきました。

1.経営理念は社員の幸せを通して社会に貢献することです。

2.社是は「いい会社にしよう」です。いい会社とは会社を取り巻くすべての人々が日常会話の中で“いい会社だね”といってくださる会社、社員自身が会社に所属することの幸せをかみしめる会社です。

3.経営方針は ①無理な成長を追わない ②敵をつくらない ③成長の種まきを怠らない

4.モットーは「会社は働く社員の幸せのためにある。会社は社員一人ひとりの幸せを心の底から感じるためにある」ことです。

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 平成29年11月27、28日において播磨経営倶楽部15名で、徳島市の㈱ときわ(ブライダル関連衣裳のレンタル、各種パーティ企画運営)と西精工㈱の企業訪問をしました。

この2社は共に、何よりも優先して従業員の幸せを追求していること。一人ひとりの能力向上を図りながら卓越したビジネスモデルを作り、優秀な業績を挙げています。以下2社のご紹介をいたします。

 

㈱ときわは年商26億円、従業員数120名(7割が女性で、平均年齢36才、フレックス制導入)、近年の需要が縮小傾向の中、“ときわ”にしかない「クオリティの高い感動」を創造し続けることにより大きな飛躍にチャレンジされています。

代表取締役 高畑富士子氏は「社員一人ひとりがチームとして、個人として新しい価値を創造・発信し続けることができる組織を目指しています。サービス業という“人と人の絆を大切にする”仕事をする上で必要不可欠のものは“社員自身の幸せ”です。そして社員に最も必要なものが「人間力」であり、「人生価値」を実感できてこそできるサービスであると信じています」とのこと。同社も社員の幸せを追求すると共に、人間力を発揮したサービスの提供を目指して大きく飛躍されています。

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 29日早朝(7時過ぎ)、西精工㈱本社工場を訪問しました。会社概要の説明、朝礼の見学、工場見学、社長講話と4時間半にわたるレクチャーをいただきました。西社長以下社員の皆様の誠実な応対と多くの教えを頂いたことに感動いたしました。その内容は以下の通りです。

 同社の事業内容は、ナットを中心としたファインパーツ(高精度、高品質、極小のパーツを称する)の製造、販売であり、自動車、家電・弱電、住宅設備機械、建設機械、ゲーム等の用途に使われています。取引先は自動車メーカー、家電・弱電メーカーなど上場企業で、年商約50億円、従業員数は250名です。

社長の祖父が大正12年に創業し、94年の歴史があります。社長 西 泰宏氏は、後継者として平成10年入社し、平成20年に代表取締役就任。西社長は入社後社内改革を目指し、全身全霊をかけ、次の取組みをされました。

1.暗い会社を変える社内改革(7年間の取組み)

  西社長の入社当時の同社は、挨拶をしない、製品を大切にしない、社内に漂う暗い雰囲気等閉塞感を感じ、これを何とかしたい思いから、西社長自ら掃除、挨拶を実践し、またラジオ体操、社内イベントへ参加し、社員に積極的に働きかけます。また委員会を組織し5Sの大切さを訴えたり、勉強会を開き、試行錯誤を繰り返すが、社員の反応は低調でした。

2.経営理念の創造(1年)

  平成17年西社長は盛和塾に入り、「社員のことをっていない理念は経営理念ではない」  

 ことを教わります。社員のみんなを幸せにとは照れくさくて言えなかった。自分に対する

覚悟がなかったからです。覚悟を決め1年掛けて経営理念を練り上げ、全社員へ向けて経

営理念を発表した際に、「社員の幸せが社長である私の幸せです」と宣言しました。

3.200項目のフィロソフィ構築(3年間)

  西社長は、朝6時~6時半に80名の社員に経営理念の考え方をメールで送り、それについての返事をその日の夕方5時までに送ってもらう。この返事を夕方から読み、それに対するコメントをまとめ、全社員に返信する、という「経営理念の思いについて社員との対話」を3年間休みなく続けました。この3年間の対話を整理すると西精工の200項目のフィロソフィが出来上り、これにより同社の行動規範が示されました。

4.約1時間かけた朝礼の実施(現在まで至る)

  朝礼は毎朝、全社員が部署ごとに分かれ行われる。ラジオ体操に始まり、創業の精神と経

営理念の唱和を行い、その後4人毎の小グループに分かれ、上記3でまとめた200項目のフィロソフィの1つについて、できているかどうか話し合い、リーダーがその意見をまとめ、その後リーダーがそのグループ一人ひとりの意見を全員の前で発表し、それに対するコメントが全体の中から出てきます。

 この朝礼の素晴らしいところは、「対話」です。一方的に発表するのではなく、必ずそれに対する意見交換があり、各人の価値観が交流するのです。これにより社員一人ひとりの価値観や見識が広がり、社風が向上していくのです。私たち見学者は、社員の方の明朗で活気ある言動と積極的な取り組みに感動を覚えると共に「目からうろこ」状態になりました。

5.毎朝朝礼に1時間かけている意義(その分生産性が下がるのでは?)

  生産性を低下させる大きな要因の一つはコミュニケーション不足です。またクレーム対応

に困っていたら、フィロソフィをひも解くことで解決策が見出せます。朝礼によりコミュニ

ケーションが深まり、フィロソフィが浸透していけば生産性は上がります。よって朝礼で時

間を費やしても生産性は下がらないと思います。最終目標は「良い製品作り」であり、「創造力・技術力ナンバーワン企業」を目指すことです。毎朝の朝礼はその根っこのところをやっているのです。つまり社員の心の教育であり、人間力を高める成長の場であり、成長の機会としてとらえています。

6.各種勉強会の実施

  社長が講師となる「心の勉強会」「リーダーシップ勉強会」や社員が講師となる「企業内

大学」など様々な学習機会を設けている。部課長が集まる会議では詳細な議事録を取り、必

ず全社員と共有する。部署同士の勉強会の機会が多く、部署間連携など協力関係が構築されている。また社員は「私の一週間」というレポートの提出、月に1回「改善提案」を提出し、そのレポートは社内報に掲載する等社内に情報共有化されます。

7.社員満足度

  会社に対する満足度調査を定期的に実施されています。そのアンケートによると90数パーセントが満足しいているとのことです。社員の中途退職はなく、女性においては過去15年間出産を理由に辞めていく人はいない。休職し、その後復帰するとのことです。

西社長は、社員が「月曜日に出社するのが楽しみ」と思ってくれる会社にすることを目指しており、社員アンケートでは80数%の社員から好回答を得ているとのことです。

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 西精工㈱見学の学びは、一昨年見学した伊那食品工業㈱の学びと共通点が多く、改めて伊那食品工業㈱の学びを次の通り検証いたします。(昨年年頭のご挨拶から引用しました。)

                    

伊那食品工業の経営目的や経営の有り方は、会社は社員の幸せを追求することであり、社員の人間力の成長を一番に願う。社員の成長があれば自ずと会社経営に関する問題や課題に対して、社員が対応(考え、決め、実行し、解決すること)できるようになるのです。殆どの会社はその逆で、問題点や課題に対する対策を教え、指示します。それを実行するのは社員であり、社員がその手法を学ぶだけでは問題の解決は難しいのが現状です。

営業や生産の現場において、①相手(周り)の意見に耳を傾け状況を把握する力 ②問題の本質を理解し、その上での判断力や決断力 ③相手に理解が得られる説明力など、業務に従事する者の人間力が求められます。

またこの人間力は「利他の心」や周りへの「思いやり」、「協調性」など人間のエゴを超えた「人間愛」が根底に存在することが不可欠です。

塚越寛会長の高次元な経営観と高潔な人間性が反映された伊那食品工業は、社員の幸せを追求するために、社員一人一人の成長を目指した会社作りを実現されています。

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 弊会計事務所ではお客様の税務・会計業務やそれに関わる経営助言・経営支援業務をさせて頂いており、業務を通してお客様の財務経営力の向上と業績向上を願って止みません。

 さてご存じの通り、平成31年10月1日より消費率の改正が行われ、複数税率(8%、10%)の時代が到来します。特徴として複数税率制度に対応した仕入税額控除の方式として、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)が導入されます。

複数税率に対応する為、事業者が発行する請求書・領収書等において、税率ごとに区分した税抜価額又は税込価額を表記することを要件としています。

また事業者が仕入税額控除を受ける為には、適格請求書発行事業者(税務署長に申請して登録を受けた課税事業者)から交付を受けた「適格請求書」又は「適格簡易請求書」の保存が要件となります。

 複数税率の対応により事務業務が増え、業務が煩雑に成る事が予想されるだけに、お客様に

おかれましては円滑な対応が求められます。

そこで1月26日、“AIを活用した近未来型の経理の在り方と消費税対応について”“中小

企業金融について”の内容で、別紙の通り「TKC経営支援セミナー」を開催いたします、

 是非とも、社長様並びに経理担当者様にご参加頂きます様、ご案内いたします。

 

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【医業経営部より】

本年、医業経営部ではお客様の環境変化に対応したご支援を強化するために、以下を重点課題として、お客様の経営支援・助言に努めていく所存でございます。

 

(1)月次・決算時の経営助言による支援

タイムリーかつ正確な月次損益及び診療報酬データベースによる診療行為別分析・保険者別分析を基盤とした、経営助言による支援を強化してまいります。

(2)診療報酬改定に対応する増収等対策支援

   平成30年度診療報酬改定の基本方針が決定しましたが、今回の改定は、重症化予防の取組の推進、医療と介護の切れ目のない連携、重点的対応が求められる分野(がん、難病、小児、周産期、救急等)における適切な評価等に力点を置く方針が強く打ち出された内容となっています。改定に伴う医療サービスの構築や地域包括ケアシステムの構築などに対応する増収等対策を支援してまいります。

(3)経営改善支援の推進

業績低迷事業の改善並びに報酬改定等による経営悪化を最小限に食い止めるため、国の制度を活用した経営改善計画の策定及びその後のモニタリングを支援してまいります。

(4)改正認定医療法人制度の移行支援

  「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」への移行促進のために設けられた「認定医療法人制度」が、平成29年10月1日に改正されました。その改正に対応した移行支援を強化してまいります。

(5)改正医療法に対応した事業承継対策・M&A及び医療法人化に向けた支援

  永続的地域医療の為の事業承継対策、外部専門機関との提携による円滑なM&A支援及び安定的な経営を目的とした医療法人設立支援を強化してまいります。

(6)相続対策に向けた支援

   稲田会計グループでは、『姫路・はりま相続センター』により相続の開始前から相続税申告に至るまでの手続き及び対策の支援を強化してまいります。 

 

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【福祉経営部より】

本年、福祉経営部ではお客様の環境変化に対応したご支援を強化するために、以下を重点課題として、お客様の経営支援・助言に努めていく所存でございます。

 

(1)適正な計算書類作成の支援強化

法改正・会計基準に準拠し、情報開示・会計監査人による監査等の要求事項を満たす計算書類の作成の支援を強化してまいります。

(2)改正社会福祉法への対策強化

改正社会福祉法に対応するため、社会福祉充実残額、社会福祉充実計画、内部統制の構築支援、会計監査人の紹介等の体制整備を行ってまいります。

(3)次世代機能を搭載したTKCシステムの提供

法令・税法に完全準拠し、経理業務の適正化、経営管理の高度化を実現するクラウド対応・フィンテック機能を搭載したTKCシステム(FX4クラウド)の提供を行ってまいります。

(4)経営改善支援の推進

業績低迷事業の改善並びに経営悪化を最小限に食い止めるため、事業責任者参画型の業績検討会を推進してまいります。

(5)30年報酬改定への対策支援

介護・障害・保育等の報酬改定・制度改正に対応するための、収入シミュレーションツールの開発と支援を行います。

(6)コーチングを活用した次世代リーダーの育成支援

次世代を担う悩めるリーダーに向けて、コーチ型マネジャーに求められる確かな考え方と技術の習得を支援してまいります。

(7)職員の定着化に向けた雇用管理改善支援

職員処遇の改善、職員の評価・育成等の人事管理制度の構築及び効果的な運用を支援してまいります。

 

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本年は‘戊犬(つちのえいぬ)の年です。過去のルールや慣習にとらわれず、新たな動き

をすることで成長する‘変化の年’と言われています。勇気を出して行動し、良い方向に向

かう年にしたいものです。

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皆様方におかれまして、良き一年であることを祈念申し上げます。

年頭に当たりまして、先ずは書面を持って謹んでご挨拶申し上げます。

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