今年度は社会福祉法改正後初めての決算となり、評議員会や現況報告書作成とお忙しく過ごされた方も多かったのではと思います。特に特定社会福祉法人に該当する法人様については、平成29年度より会計監査人の監査を受なければならなくなり、その予備調査でより一層お忙しい日々を過ごされたのではないでしょうか。
今回は平成28年度中に実際に監査法人の会計監査人が実施された予備調査の内容をお伝えしたいと思います。今後、特定社会福祉法人に該当する可能性のある法人様のご参考にしていただければと思います。
会計監査人 平成28年度実施スケジュール(例)
~8月頃
現状調査
社内管理体制及び会計制度の整備を行うための事前調査を実施
~2月頃
業務フロー、マニュアル作成
業務手順、業務処理を統一、また内部統制を有効にするため、
業務を下記の通り分類し、業務フロー及び業務マニュアルを作成
・収入及び支出出納(出納に関する承認を得る等)
・人件費(計算結果をダブルチェックする等)
・固定資産(台帳登録時にダブルチェックする等)
・記帳全般(記帳担当者以外の者による承認を得る等)
・決算書作成体制(作成担当者以外の者による承認を得る等)
~3月頃
決算に向けた打ち合わせ
決算書作成のため、会計処理等に関する打ち合わせを実施
・棚卸資産の計上基準の確認
・発生主義での経費の計上基準の確認
・引当金の計上基準の確認
・固定資産の現物確認、実査
3月31日
期末残高確認
期末時点での現金、棚卸資産等の実査
5月頃
期首残高監査
決算書一式を確認し、各勘定科目の残高を確認
・現金、預金、借入金の残高確認
・未収金、未払金等の経過勘定科目の内容を科目明細より確認
・固定資産の減価償却、国庫補助金の取り崩しが適正か確認
平成29年度決算より監査報告書を発行して頂くため、平成28年度については予備調査と適正な体制作りを進めていただきました。また、5月実施の期首残高監査については、平成29年度期首の残高を適正なものにするため、細かく内容を確認されておりました。特に預金残高や借入金残高については、監査法人独自で金融機関より残高証明書を取得されておりましたので、もし簿外の通帳がある場合は一目瞭然となってしまいます
今後、特定社会福祉法人の範囲は、今後段階的に拡大されていく方針が示されております。現状では該当しない法人様につきましても、上記の内容を参考にしていただきながら内部統制の取れる業務体制・組織体制構築や適正な残高把握を是非とも進めていただければと思います。
株式会社 経営開発センター 福祉経営部 山口 恭右