126:『内部統制への第一歩、 業務ルールの整備』

 10月となり、少し過ごしやすい気候となってまいりました。法人を取り巻く環境は特定処遇改善加算や消費税増税・軽減税率の導入など大きな変動の中にあり、皆様もお忙しく過ごされているのではないでしょうか。

 今回は、前回の社会福祉法改正の際にも論点となった、法人のガバナンス強化の一環である内部統制についてです。現状では特定社会福祉法人にのみ会計監査人制度の導入が義務付けられ、それ以外の法人様は任意での会計監査人の設置となっております。しかし、法改正の趣旨や今後の特定社会福祉法人の定義の変更を踏まえると、現状は特定社会福祉法人に該当しない法人様におきましても、ガバナンス強化・内部統制は必要ではないかと感じています。

 そこで、今回は内部統制構築の第一歩である「業務ルールの整備」についてお伝えしたいと思います。経理規程や給与規程など、既に法人様で業務ルールを定めた文書はある程度存在していると思います。しかし、本当にその規程通りに業務が進められているでしょうか。また規程を作られたのが昔の話で、現在の状況に合わない状況になっていないでしょうか。

 下表ではルールの存在や文書化の有無といった、ルールの整備状況を段階別にまとめました。また段階別のリスクとステップアップのための改善案も併記しましたので、ご覧いただきたいと思います。

 ガバナンスの強化や内部統制の構築と聞くと、がんじがらめにされてしまう印象を持たれるかもしれません。しかし、法人にとっては業務品質の確保や透明性の維持には必要な事です。また法人職員の立場から見れば、業務ルールがあいまいだと、問題が発生した際にその責任を負う可能性があります。最悪の場合、不正を疑われてしまうなど、リスクのある職場となってしまうのではないでしょうか。

 公益性の高い社会福祉法人だからというだけではなく、職員の方が安心して働くことのできる職場にするためにも、ガバナンス強化、内部統制の構築の第一歩として業務ルールの作成や見直しを進めていただければと思います。

 

株式会社 経営開発センター 福祉経営部 山口 恭右

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