148:『「育児・介護休業法」 一部改正について』

暑中お見舞い申し上げます。これからさらなる暑さの到来が予想されますので、皆さまくれぐれもご自愛ください。

さて、今回のレポートでは、令和4年4月より施行されている「育児・介護休業法」一部改正についての情報共有をいたします。

令和3年6月に発令された本改正は、施行時期から下記の3つの段階に分け実施されます。

①令和4年4月

育休の周知・取得意向確認       (義務化)

育休が取得しやすい環境整備      (義務化)

有期雇用労働者の制度利用要件の緩和  (要件緩和)

②令和4年10月

出生時育休制度、育休分割取得等    (取得方法の柔軟化)

③令和5年4月

大企業は育休取得率を公表       (義務化)

※大企業:常時雇用する労働者数が1,000人を超える事業主

 

令和4年4月より、本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と育児休業の取得意向確認を個別に行わなければなりません。

【周知事項】

ⅰ)育児休業・産後パパ育休に関する制度

ⅱ)育児休業・産後パパ育休の申し出先

ⅲ)育児休業給付に関する事

ⅳ)労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取扱い

【個別周知・意向確認の方法】

ⅰ)面談  オンライン面談OK

ⅱ)書面交付

ⅲ)FAX

ⅳ)電子メール等 のいずれか

※ⅲ、ⅳは労働者が希望した場合のみ

 

また、育児休業と産後パパ育休の申し出が円滑に行われるようにするため、環境整備として事業主は以下のいずれかの措置を講じなければなりません。

ⅰ)育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施

ⅱ)育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)

ⅲ)自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供

ⅳ)自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

 

 

令和4年10月より、男女関係なく育休期間を2度に分割して取得することが可能となります。また、男性版の産休制度(産後パパ育休)がスタートします。産後パパ育休とは、子の出生後8週間以内であれば通常の育休とは別に4週間の休暇(2度に分割可)を申請できる制度です。これらにより、育休中の女性の職場への一時復帰や、男性のより柔軟な育児への参加が可能となります。

 

本改正は柔軟な育休取得の推進と取得要件の緩和だけでなく、男性の育休取得率向上が目指されています。特に男性の育休取得事例がない法人様の場合、私の経験上、最初に取得を検討する男性職員の葛藤は大きいことが予測されます。そのため、環境整備について未実施の法人様は早めに整備していただき、法人様側からの育休の周知・意向確認等、妊娠・出産報告を受けた際の対応方針を検討しておくことが必要かと思われます。

 

株式会社 経営開発センター 野原 崇史

 

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