142:『男性の育児休業の取得について』

 

冬の寒さが収まり、桜の花が咲き始めるなど少しずつ春の気配が近づいてまいりました。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除され、感染者数は1,2月に比べると大きく減じております。短期入所やデイサービスなどを実施されている法人様では、安堵された方もいらっしゃるのではないでしょうか。

さて、今回のレポートでは、育児休業の法人側メリットと育児休業取得を通じて私自身が感じたことを記載いたします。

 

令和元年度に男性が育児休業を取得した割合は 7.48%であり、社会的認知度はまだまだ低い状況です。しかし、国が推進していることもあり、年々取得率は上昇しております。この取得率上昇を支える要因は労働者側だけでなく企業・組織に対するメリットが増え、組織側の制度整備が着実に進んでいるからだと思われます。

企業・組織に対する国の制度としては、両立支援等助成金:出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)や、くるみん認定・プラチナくるみん認定があります。この認定制度は認定されることで、①商品や広告等へのマーク使用②公共調達の加点評価③日本政策金融公庫による低利融資④両立支援等助成金におけるインセンティブなどを受けることができます。

また、育児休業取得率は、男女を問わず就職において重視される要因の一つとなってきております。

 

この流れが、働き方改革の影響なのか、世代の考え方の変化によるものなのかは分かりません。しかし、育児休業制度が始まって15年ほどで、女性の育児休業取得率が90%程度の取得率となったことを考えると、男性の育児休業取得が一般的となる日は案外近いのかもしれません。

ここからは、私が実際に1ヵ月の育児休業を取得した経験についてお話したいと思います。私はもともと育児休業を取得する意思はありませんでした。諸事情で取得することに決めた際は、最悪辞職する必要があるかもしれないと考えていました。あの時、会社に伝えるまでに感じていた不安感や、焦燥感は今でも忘れられません。そのため、快く了承いただいた際にはこの会社を選んで良かったと心から思いました。

実際に育児休業を取得し、一番大変だったことは、今までの自分の生活を、急激に子供中心の生活に変えたことだと思います。仕事には時間制限があるが、育児に時間制限がないという言葉の意味を思い知らされました。また、赤ちゃんの行動にルーチンなどがあるはずもなく、昨日と今日で好き嫌いも異なります。人間は理解することで安心を得る生き物だと言われます。その意味では毎日が不安で、それでも新しい発見による喜びが続いた1ヵ月でした。コロナの影響で思うように周りからの支援を受けることができない状況で、何とか今を迎えることができたのは、あの1ヵ月を夫婦で共有できたからだと思っています。

最後にこれから育児休業取得を考える男性の方にお伝えできることがあるとすれば、育児休業は言葉のとおり「育児をするために本来の仕事を休む」ことだということです。母体の状況にもよりますが、軽くサポートするつもりで取得するのではなく、むしろ全てやる覚悟をもって取得されることを個人的にはお勧めします。

株式会社 経営開発センター 野原 崇史

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