140:『困難に打ち勝つために』

今年はコロナ禍で年が明け、コロナ禍で師走をむかえました。まことに苦難の多い年になりました。コロナウィルスで特に在宅部門に影響があり何かと気苦労が多い今日とお察しいたします。しかし、出口のないトンネルはありませんので、明るい未来に向かって強い意志をもって対応していきたいと思っています。今回、私自身当たり前の生活が実は当たり前ではなく幸運の積み重ねの上にあったとしみじみ実感いたしました。当たり前のことに感謝すべきであることを学びました。

さて今月号は稲盛和夫氏の著書「心を高める、経営を伸ばす」から、「困難に打ち勝つために」の章から2題ご紹介をさせていただきます。

 

『困難に真正面から取り組む』

難しいが、どうしても解決しなければならないという、困難な状況から逃げてはいけません。真正面から困難に立ち向かわなくてはなりません。それには「何としてもやり遂げる」という切迫感が必要です。ちょうど修行僧のような形相で仕事をしている状態です。また同時に、一切のものにとらわれてはいけません。素直な目で現象を観なければなりません。先入観を持っていては、ものごとはその真実を語ってくれません。一方では「何としてもやらなければならない」という思いがありますが、もう一方では苦しければ苦しいほど、現象をつぶさに見つめ直すという素直な姿勢が必要となるのです。そうすれば、今まで見過ごしていたものを、ハッと見つけるものです。それを私は“神のささやく啓示”と呼んでいます。啓示を受けるほどの切羽つまった状況、真摯な態度からしか、真にクリエイティブなものは生まれてきません。素晴らしいアイデアを得ようとするならば、困難に真正面から取り組む姿勢が必要なのです。

 

『希望を失わない』

今でこそ私は「心で思った通りに現象は現れる」と信じているのですが、社会人となったころは、やることなすことうまくいかず、とてもそのようには考えられませんでした。しかし、そんな苦しい中でも、私は明るさと希望だけは失いませんでした。これが今日の私を創ったと思います。そのころの私は床が抜けそうなオンボロの寮の二階に住んでいました。畳の表もなく、わらがぼうぼうとむき出しの六畳間でした。そこに七輪と鍋を持って来て、毎日自分で炊事をしていました。会社の研究も、人間関係もうまくいかず、日が暮れると寮の裏の桜並木が続く小川へ一人で出かけていきました。そして、小川のほとりに腰かけて、唱歌の「ふるさと」をよく歌ったものでした。心の傷みが積もり積もって、どうにもならなかったのです。私は思い切り歌うことで自分を元気づけていたのです。そして気分を一新して、次の日にはまた会社へ出かけて懸命に働きました。悩みはいつでも誰にでもどこにでもあります。しかし、そういう状況の中でも、気分転換を図り、明日への希望と明るさだけは失わないようにしなければなりません。

 

終焉が見えないコロナ禍ではありますが、真正面から対策に取り組み、また以前のような普通の生活や仕事ができる日が来るという希望をもって、立ち向かいたいものです。

 

(株)経営開発センター  文責:阿野英文 拝

 

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