125:『特定処遇改善加算の 考え方と実務対応は?』

 訪問させていただくと、特定処遇改善加算の考え方を質問されることが多かった8月となりました。

 特定処遇改善加算の取り扱いについては、Q&Aが発出されると、「当初考えていた方法と考え方が違っていた」などの意見をお聞きすることがありましたので、この度は、特定処遇改善加算の基本的な考え方と実務対応について、以前からの振り返りも踏まえてレポートさせていただきます。

 

この度の介護職員等特定処遇改善加算の特徴は、以下の通りとなっております。

特 徴

a.グループ:経験・技能のある介護職員、 b.グループ:他の介護職員、c.グループ:その他職種のグループに分け、基本的に(4:2:1)の配分ルールとする

a.グループ:経験・技能のある介護職員のうち、1人以上は月額平均8万円以上の賃金改善、又は年収440万円以上の賃金改善を実施

一定の要件下で、介護職員以外の職種に配分できる

介護福祉士の配置に係る加算の取得の有無により2段階(Ⅰ・Ⅱ)の加算率を設定

特定処遇改善加算の取得状況を公表(見える化)すること

現行の処遇改善加算(Ⅰ~Ⅲ)とは別途に取り扱うこと

 

 次に、この度ご質問いただいたものを一部抜粋し記載させていただきます

ご質問内容

a.グループの介護職員のうち1人以上は月額平均8万円以上の賃金改善、または年収440万円以上の賃金改善をしなければならないが、どのような場合に1人以上要件を満たすのでしょうか?

非常勤職員の賃金が、年収440万円以上であるかはどのように判断するのでしょうか?

管理者と介護職員を兼務していますが、どのグループに含めることができるのでしょうか?

改善額の要件について、グループ毎(a、b、cグループ)で一律の金額を設定する必要がありますか?

特定処遇改善加算の改善に充てたとすることができるのは、いつの期間からでしょうか?

 この度の特定処遇改善加算は、配分ルールが複雑です。Q&Aに記載があるもの、また個別で対応が必要なものなどと様々ですが、配分ルールの考え方にはご留意いただければと思います。

 

 ここからは、実際にどのような手順で、実務上検討していくかの一例を記載させていただきます。

検討の手順

特定処遇改善加算分の収入額の試算

a.グループ・b.グループの事業所別の対象人数を確認

※事業所別に a.グループに月額8万円以上の改善又は年収440万円以上の者を1人以上置く

c.グループの対象人数(範囲)を確認

※既に年収440万円以上の者は対象にできない

a.グループ・b.グルーブ・c.グループの改善額を調整

法人全体のバランスを確認

 

 法人様毎で地域区分、事業所規模、歴史、賃金水準にもバラつきがあるため、様々な可能性を考慮しシミュレーションを行い、長期的な視点で検討していくことが必要になります。また、この長期的な視点で考えるとは、この度の特定処遇改善加算は、加算率が(Ⅰ)、(Ⅱ)で異なり、特定処遇改善加算(Ⅰ)の要件を満たさなくなった場合などは、配分額やグルーピングを見直す可能性が考えられる為、賃金改善をどのように行うのかの検討も必要となります。

 

 既に届出を完了された法人様、まだ検討中の法人様と状況は様々かと思います。特定処遇改善加算の申請は、9月以降も可能ですので、今後の検討のご参考にしていただければ幸いです。

 

 

株式会社 経営開発センター 稗田 修生

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