謹んで新年のご挨拶を申し上げます

令和3年 元旦

お客様各位                               

税理士法人 稲田会計    

株式会社 経営開発センター

グループ代表  稲田  実 

代表取締役   野崎 悦雄

専務取締役  鳥澤 靖幸

                           

新年、明けましておめでとうございます。

 旧年中は大変お世話になり有難うございました。本年も何卒よろしくお願い致します。

 

 昨年は新年早々、新型コロナウイルスが発生し、コロナ禍の中1年が過ぎました。会社や取引先、家庭やコミニュティにおいて、対面を避け、感染対策に注力し、目に見えないものとの戦いに大変なストレスを感じながら過ごす1年でした。

 これまでの慣習を捨て、まるで神のお告げがあったように、祭事や行事、催し物は中止され、仕事の有り方や生活が大きく変化しました。

 

 私たちは、次のような産業社会の課題に向けた取り組みを求められていましたが、コロナ禍の1年で、その取り組みが加速度的に促進していること、これは驚きの事実です。

(1)働き方改革、ライフ・ワークバランスへの取組み

(2)第4次産業革命といわれるデジタル社会の実現

(3)地球温暖化対策、CO2削減、再生可能エネルギーの普及拡大、脱炭素社会の実現

 

 人間はあれこれ選択肢があると無難な道を選び、本質から外れた道へ進むことは多々あると思います。しかし逆境の中、退路を遮断しこの道しかないという環境であれば大きな力を発揮し、変革を成し遂げることができるということでしょうか。

 

(1)働き方改革、ライフ・ワークバランスの取組み

 かつて企業は、社員に仕事中心の生活を強いていたかもしれません。仕事と生活の調和を図り、その両方を充実させることにより、仕事と生活の相互に良い影響を及ぼしながら相乗効果を生むことになります。

 就労者減少の環境下、就労者が子育てや親の介護ができる、多様な働き方が選択できる労働環境の整備・構築が求められます。

  企業にとってライフ・ワークバランスの取組みは、社員が安心して働くことができ、企業に対する信頼感や参画意識が向上し、人的資源の確保につながるのです。

  

 具体的な取り組みとして、①長時間労働の是正 ②有給休暇の取得 ③フレックスタイム制度の導入 ④出産、育児、介護休暇取得の促進 ⑤テレワークの導入等です。

 

 働き方改革に着手しその達成度において低迷を続けていた企業が、コロナ禍において一気に実現させていることが明らかになりました。

社員は、ITを活用して場所や時間にとらわれない柔軟な働き方をすることになり、在宅勤務やサテライトオフィスによるモバイルワークが生まれました。

 職場中心の行動が、居住地域へシフトし、地域社会との交流や趣味を生かすことのできる生活へと変化していきます。

 この生活を知った就労者は、仕事中心の生活に戻ることはできないと思います。

 

(2)第4次産業革命といわれるデジタル社会の実現

 18世紀から19世紀にかけて、蒸気機関の開発により工場機械工業や鉄道、蒸気船が生まれ、産業工業化が中心であった第1次産業革命。

 化学・電気・石油などのエネルギーや素材の開発により、消費財の大量生産の仕組みが確立された第2次産業革命。

 コンピューターの出現、さらに情報通信技術の発達により、生産機械の自動化・省力化、業務の効率化・省力化・早期化を実現する第3次産業革命。

 

 従来は人間の知識、知恵・判断力によって導き出されていた価値が、ICT、IoT、AI(人工知能)などの技術革新により、あらゆるモノがインターネットで繋がり、情報交換をすることで相互に制御し、判断することにより、人間が導き出していた価値以上のものを、早期に創造することとなる。この価値創造はあらゆる産業に大きな変革を与えていくことになる。これが第4次産業革命である。

 企業はDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組み、国は構造転換を促す成長戦略としてデジタル化を打ち出し、デジタル庁を発足させデジタル社会を目指している。

 

 ここで企業がデジタル化にチャレンジしている事例を紹介します。

 ・大阪ガスの全社員のデータ分析官へ                           

 あらゆる社員が、顧客へのガス供給量や顧客の機器稼働状況などのリアルタイムにデータの検索をできるようにし、機器のメンテナンスや販売、商業施設の省エネ提案や家庭用燃料電池の販売などへ繋ぐ。全社員を「データ分析官」に育て業界をまたいだ競争で生き残りを図る。

 従来は、各部門において権限のある範囲のデータしか検索できなかった。他部門の最新データのありかを知るには「分析担当者」を探し、検索や提供を依頼するしかなかった。

 全社員が各々現場において手元の端末で、必要なデータを検索・分析できるようにして、営業や保守を迅速化する狙い。在宅など社外からの利用も可能である。

 課題はセキュリティであり、アクセスする社員が多ければ多いほど情報漏洩リスクは高まる。

 

・第一三共(製薬会社)がん治療に患者情報アプリ開発へ

 がん患者の治療を支援するスマートフォンアプリの開発に乗り出した。患者が抗がん剤投与に伴う嘔吐や下痢などの症状、気分の落ち込みといった心身の状態をスマホで入力し、医師がデータを共有する仕組みを検討している。アプリを通じて医師の治療計画策定に生かせるようにする。

 がん治療は医師が患者の体調を踏まえ、抗がん剤の量や投与間隔を調整する。近年は入院せず、通院での治療が主流となり、患者の自宅での様子を知る重要性が高まっている。治療用アプリは米国が先行している。

 

 ・ローソン AI(人工知能)により食品ロス減らす

 全国15千店舗において、人工知能を使ったおにぎりやサンドイッチなどの食品を対象に、約450品目の商品ごとの仕入れ数を予測できるようにした。

 米データロボット社のAIを、11月末から本格運用を始め、ほぼ1カ月運用したところ、AIを使った仕入予測と店舗が発注していた実際の数量との差について、3割程度の改善が見込めるようになったとのこと。

 従来は本部担当者が前年の実績や自身の経験から主要100品目の仕入れ数を予測し、それ以外の品目は類似品の数値を使うなど大まかな推計であった。   

 今後はAIに取り入れるデータを増やし、実際の販売量に近づけると共に、食材の調達計画に生かしていくことにより、食品原価率の改善につなげる。

 

(3)地球温暖化対策、CO2削減、再生可能エネルギーの普及拡大、脱炭素社会の実現 

 地球温暖化対策は人類滅亡の危機に対する課題として、あらゆるものに優先して講じなければならない対策であると思いますが、世界各国の足並みが揃いません。

 米国トランプ大統領のパリ協定脱退や世界の温室効果ガス排出量の3分の2を占める途上国の取組みが大きな壁となっていました。

 世界を震撼させている新型コロナ感染について、世界各国は共通の危機意識を持ちその対策に苦慮していることと思われますが、地球温暖化対策はこの問題よりはるかに深刻な問題だと思います。

 京都議定書から23年経ちますが、地球温暖化対策への取り組みは遅々として進まなかったものが、コロナ禍を機に一気に進展するものと思われます。

 

 ・京都議定書

 1997年、世界各国の代表者が京都に集まり、国連気候変動枠組み条約の締約国会議(通称COP)が開催され、この会議により採択されたのが「京都議定書」という国際条約です。

 京都議定書は参加している先進国に対して温室効果ガスの削減を要求するもので、先進国全体で温室効果ガスを、2008年から2012年の間に、1990年比で5%削減すること及び国ごとに同排出量の削減目標が定められました。日本6%、米国7%、EU8%でしたが、同排出量の3分の2を排出している途上国に対する同削減要求はありませんでした。

 

 ・パリ協定

 2015年パリでCOPが開催され、京都議定書を受け継ぎ2030年までの削減目標を提出、世界全体で温暖化対策を進めることに合意した協定です。

 提携国は159ヵ国、温暖化対策に合意した協定であり、世界同排出量の86%の地域をカバーすることになります。

 各国は2020年以降の同削減目標と自主的な取り組みを策定することが定められ、これを受け日本は、2030年度の同排出量を2013年度比26%削減する目標を掲げました。ちなみに米国のトランプ大統領は2017年6月同協定の脱退を表明しました。

 

 ・菅内閣の成長戦略

 令和2年9月に発足した菅内閣は、コロナ禍を機に次の成長戦略としてグリーン社会実現を掲げ、脱炭素社会を目指しています。

 我国の電源構成に占める再生可能エネルギーの比率は18%(ドイツ42%、英国39%)であり、2050年には同比率を50%~60%に高める案を検討する。また温室効果ガス排出ゼロを実現するため、実行計画を近くまとめることとしています。

 なお再生可能エネルギーのうち、特に普及性の高い電源として洋上風力を位置づけ、導入を促進するために、実行計画に盛り込むことにしています。

 これを受け東芝は、火力や原子力発電で培った発電ノウハウを生かし、風力発電事業への参入を決め、関連技術などの買収や協業を検討し、今後5年間に1兆円を投資するとのことです。

  また脱炭素社会の実現に向け、炭素の排出に価格を付けたカーボンプライシング(CP)の推進に乗り出すようです。

 CPとは燃料利用に応じて事業者に課税する炭素税と企業が事前に定められた炭素排出量に対して削減結果の過不足を売買する排出枠取引制度があります。

 この制度はEU加盟国が先行し導入しています。

 

 ・脱ガソリン車の各国の動き

 現在の脱ガソリン車(EVとPHV)の割合はドイツで20%、米国が2%であり、日本もアメリカ同様と思われます。

 各国のガソリン車やディーゼル車の規制は次の通りです。

 日本は2030年代半ばに販売ゼロの方針、欧州の英国は2030年に販売禁止、フランスは2040年に販売禁止、米国カリフォルニア州とカナダ・ケベック州は2035年までに販売禁止、中国は2035年を目途にEV・HV車のみに・・・・・・

今後脱ガソリン車の動きが世界各国に広がっていくと思います。

  

 今後我国の産業界は、第4次産業革命であるデジタル化と脱炭素社会の実現、さらにライフ・ワークバランスの実現に向けた改革に邁進していくものと思われ、新たな挑戦(ビジネス革新)のための投資に備え、金融市場からの資金調達が顕著になっています。

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 弊事務所ではお客様の税務・会計業務を基本に、経営環境の変化に合わせた経営助言・経営支援業務を行って参る所存です。お客様の“変革”を願い職員一同研鑽して参りますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

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 本年は“辛丑(かのとうし)”の年です。辛は“痛みを伴いながら幕引きを行う”ことを意味し、丑は“殻を破ろうとする命の息吹、希望”を意味します。

 皆様方におかれまして、良き一年であることを祈念申し上げます。

 年頭に当たりまして、先ずは書面を持って謹んでご挨拶申し上げます。

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