レポート:85号『デイサービスでの営業の大切さとケアマネへの情報提供について』

 平成27年4月に報酬改定がなされ、1年が経過しようとしております。今までの経営の考え方だと生き残れないと言われるほど、大きな変化を求められ、特にデイサービスは、この度の改定で大幅に減収となっているケースが多く見受けられます。私自身、ある法人さまで介護事業の経営改善支援に現在取り組ませていただいておりますが、その中でお聞きしたのが、「1年間営業をしなければ、1割の利用者様が減ってしまう」という実態でした。この度の介護報酬の改定により単価は減少しましたが、利用者様の登録人数は増加した形が理想です。そこで、今まで以上に力を入れる必要があるのが「営業」ではないでしょうか。最近、私が視聴したDVDの中でもデイサービスの稼働率アップに必要なのは9割が「営業」であると聞きました。

 しかし、現場で働いている方の中には、「営業」に苦手意識をもっておられる方が多いのも事実ではないでしょうか。実際、私自身もその一人です。

 一般的に営業には話上手が向いているというイメージが浸透しているように感じますが、実は、営業は必ずしも話上手であるという必要はないようです。営業に必要な能力は、実は「相手の立場で考えることができること」や「傾聴できること」のようです。このことは、介護職に携わる方々であれば、利用者様との関わりのなかでの心がけに通じるところがあるのではないでしょうか。①利用者様の立場で考えてどんなサービスを提供するのがよいか。②利用者様の話を聞いて相手の気持ちを理解する。そんな日常業務で行っていることが、実は営業に生きてくるように思います。営業は人と人とのコミュニケーションの上に成り立っています。相手の立場や気持ちを考えずに一方的なコミュニケーションをしていたら良好な関係を築くことはできません。上手に話すのではなく、相手の立場に立って話をすることが必要ではないでしょうか。

 例えば、本当はこちらのデイサービスの方が利用者様の希望に沿っていたのに、ケアマネが自分の事業所を知らなかったことで紹介いただけなければ、利用者様の為にも良くないことだと思います。このことから、ケアマネに情報提供を行うことは、利用者様のために必要だと感じます。

 さて、そこで営業に行った際にケアマネが求めているのはどのような情報でしょうか。当社調べによると「事業所の方が営業に来た時に一番重視している事は?」との質問について、1番多かったのが、事業所の特徴、第2に営業に来た人の第一印象だそうです。きっちりと事業所の特徴を伝え、営業に行く際には清潔感や挨拶、笑顔などへの心がけが必要との結果です。また、「事業所の方が営業に来た時に説明してほしい情報は?」との質問で1番多かったのが事業所の特徴、次に事業所の情報(スタッフなど)との結果です。サービスの内容を利用者様やご家族様に適切に説明する必要があることを考えれば、説明しやすいように事業所の特徴だけでなく、職員体制や具体的な取り組みをお伝えすることも重要です。

 またケアマネも忙しく、時間をいただけても2~3分くらいの場合が多いとのことなので、ポイントを整理し、説明できる準備をしておく必要もございます。

 この結果から、相手の立場に立ち、特徴ある情報を、印象のよい接遇をもって伝えることがデイサービスでの安定した利用者様獲得への近道といえそうです。

株式会社 経営開発センター 福祉経営部 稗田 修生

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