レポート:60号『小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり』

 月日の経つのは実に速いもので、つい先日新年を迎えたばかりと思っていましたのに、もう2月に突入し今年も残すところ11ケ月になりました。みなさまにとっては、一年で最もお忙しい時期かと存じます。

 25年度最終補正予算編成および事業計画の実施総括、そして26年度当初予算編成および事業計画の策定、理事会・評議員会の招集準備、さらにはスタッフの評価および処遇改訂等、年度末と年度始めの業務が目白押しかと存じます。どうぞ御身ご自愛いただき頑張ってください。

 さて今月のコラムは、私が上司として弊社スタッフと接するときの基本的な姿勢としている稲盛和夫氏の言葉を紹介した盛和塾塾生の文章を掲載させていただきます。

 京セラ創業者で経営塾「盛和塾」を主催されている稲盛氏はよく「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」という言葉をおっしゃいます。

 人には優しさが必要だが、上司が部下と接するとき、部下に迎合し良い顔ばかりして甘やかすことは小善であり、これは部下達本人のためにはならないばかりか会社を危うくする大悪である。獅子が我が子を千尋の谷に突き落とすように部下に厳しく接することは、非情であり薄情なように見えるが、これが部下を育てることにつながり立派な大善であると稲盛塾長はおっしゃいます。

 部下の仕事ぶりに関して小言を言わねばならない時があります。嫌われることを恐れ言わないでいるのは小善であり大悪につながり、言うべきことをしっかりと言うのが大善なのですが、これは非情に似ていますので部下が快く受け入れるとは限りません。

 ここで経営理念が威力を発揮します。明確な経営理念があれば「あなたのしていることは会社の目的である経営理念につながらない。目的である経営理念達成のためにはこうしてもらわないと困る」と言えます。

 また、部下もやって良いこと悪いことの判断基準を持つことができます。大抵の場合、部下が上司の指導を良く思わないのは、上司の指導に一貫性が無くブレがある時です。「この前はああ言ったのに、今日はこう言っている。いったいどうすればいいんだ。」という具合です。仕事を取り巻く環境は日々変化しますから指示が変わることもあります。何のための指示なのか、その根本にある目的・経営理念達成のためであることを理解してもらうことが大切です。

 以上ですが、最近の安倍総理の政策を見ていると「大善は非情に似たり」を実践されているように思えてなりません。一般国民には消費税増税という無理を強いて、一方、法人へは法人税減税等優遇措置を講じています。国民から見れば我々に負担を強いて、資本家に優遇するのかという猛反発が予想される政策ですが、会社が元気になれば、それは国民一人ひとりに還元されて経済の好循環が生まれ、結果として国民の幸せにつながっていくといった論理かと愚行します。国民へのばらまき施策よりも国家100年の計に基づいた賢者の選択と私は理解をしております。みなさまはいかがでしょうか。

 私も弊社スタッフと接するときだけでなく、同時に経営コンサルタントとしてお客様と対峙する時も、まことに傲慢に思われるかもしれませんが「大善は非情に似たり」を腹に据えて臨んでいます。そうしないと報酬をいただく値打ちがないと思うからです。その結果として「お客様の経営の発展に貢献すること」が弊社の経営理念であり、目的であるからです。

(株)経営開発センター  文責:阿野英文

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