朝夕めっきり秋めいてまいりましたが、みなさまにはお変わりなくご健勝のこととお慶び申し上げます。さて、昨今の超高齢化社会を反映した高齢者福祉事業の膨張は目を見張るものがあり、それに伴い介護職・看護職の争奪戦は非常に厳しいものがあり、施設運営の大きな課題となっています。そこで、今回はその対応策について考えてみたいと存じます。まず、下表に示すとおり業界別に俯瞰した場合、福祉・医療業界の離職率は他産業にくらべて突出した統計がございます。
マスコミで喧伝されているように、介護職員の給与水準の低さ(実際は中小企業社員と比べても遜色はないと考えていますが)や精神的・肉体的負担の大きさだけが離職率の高さでしょうか?(全産業平均離職率28.8%、福祉・医療界の離職率38.6%:左表参照) もしそうだとしたら、運輸業・建設業の離職率はもっと高くなると推測されます。賃金水準や負担の大きさに高い離職率の原因を押し付けても問題は解決しません。 せっかく採用したのに1年で離職してしまう現状に悩んでおられる施設経営者の方も多いと思いますが、根本的に組織風土の中に何かその要因があると考えて、その対策を打つことこそ現実的な対応策と考えます。 また、介護職員の離職率の事業所別分布を見てみますと、離職率10%未満と30%以上に2つの大きな山があり、二極化が進行しているようです。同じ介護職でも離職率の高い事業所と低い事業所があるということは、前述の賃金水準や精神的・肉体的負担の大きさが原因ではないことがうかがえます。 そこで、その原因を探るために職員満足度アンケート調査を実施し、職員の不満足点を属性別にフォーカスすることも有効な手段です。 さらに、私見ですが中間管理職の資質に問題があるケースの方が多いように存じます。中間管理職が新入職スタッフを親身に受け入れ親身に育てる意識改革と、常にスタッフに対して未来に夢や希望を語ることなど人材育成に関する中間管理職研修も必要ではないでしょうか。要するに求人対策に躍起になるより、離職阻止対策に具体的なメスを入れることが有効な対策であると考えます。 (株)経営開発センター 文責:阿野英文
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