レポート:第41号決算書類を用いたザックリ分析

 

 早いもので平成24年度も第1四半期が過ぎようとしています。この3ヶ月間は報酬改定等による業務で例年より忙しくされていたというお話しを聞く機会が多かったように思います。

 少し落ち着いたこの時期こそ、平成23年度の自法人の業績を振り返るいい機会ではないでしょうか?

 財務分析の方法は、様々ございますが、今回は決算書類を用いて財務状況を“ザックリ”掴んで頂くための、最低限の着眼点をご紹介させて頂きたいと思います。

 貸借対照表や事業活動収支計算書は、前年度と当年度を比較した形式で表示されていますので、時系列の推移を確認することができ、財務状況の全体像を掴むことができます。

 

貸借対照表の着眼点(例)

項  目

着 眼 点

①預金総額(積立預金、有価証券等含む)とその増減

□預金総額は増加しているか、将来に必要な積立はおこなえているか

□必要運転資金は確保できているか(収入の2ヶ月分~3ヶ月分)

□事業展開・大規模改修にいくら拠出できるか

②減価償却累計額に対する預金総額の充足率(預金総額÷減価償却累計額)

□充足率は少なくとも50%以上は確保できているか

 (建物・車輛・器具備品等の再取得に必要な資金の裏付け)

③借入金残高とその増減

□預金総額に対して借入金残高が過大となっていないか

□借入金残高は前年度に比べ減少しているか

④純資産の部合計とその増減

□前年度に比べ増加しているか

⑤次期繰越活動収支差額、うち当期活動収支差額の増減

□前年度に比べ増加しているか

 

事業活動収支計算書の着眼点(例)

項 目

着 眼 点

①事業活動収支差額

□事業活動収支差額は黒字となっているか

□事業活動収支差額は前年度に比べ増加しているか

□事業活動収支差額比率(%)は少なくとも5%以上は確保できているか

□事業活動収支差額比率(%)は増加しているか

②事業活動収入計

□事業活動収入計は前年度に比べ増加しているか

□介護保険収入、自立支援費等収入、運営費収入、措置費収入等の主要科目は前年度に比べ増加しているか

③人件費支出

□人件費支出に大幅な増加はないか

□人件費比率(%)前年度に比べ大幅な上昇はないか

④事務費支出、事業費支出(直接介護費、一般管理費)

□前年度に比べ大幅な増加はないか

□事務費比率(%)、事業費比率(%)は前年度に比べ大幅な上昇はないか

 

 財務諸表は、経営のすべてを数字によって表すことができます。この数字を生きた経営に活かしてこそ、本当の決算書類の力が発揮できるものと考えます。今回の分析を活かし、何か経営のヒントにつながれば幸いです。

 今後の皆様のますますのご発展を心よりお祈りしております。

                株式会社 経営開発センター  稗田 修生

 

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