レポート:107『介護報酬の改定と  収入への影響額』

 『1月は行く、2月は逃げる、3月は去る』と時の経つのがはやい例えで言われますが、今年は今まで以上に早く感じる日々をお過ごしのことと思われます。

 

 その様な中、昨年より気になっていました介護報酬の改定について、1月26日の「社保審-介護給付費分科会」にて改定案が示されています。早い方は、自法人における影響額等のシミュレーションを実施されていると思われます。

 この度のレポートでは、介護報酬改定(案)の(特に収入に与える影響)について取り扱ってみたいと思います。

 

 全体的な私の印象として通所介護、訪問介護(特に同一建物等居住者へのサービス)がマイナス改定となり、介護老人福祉施設は比較的プラス改定となる印象を受けました。

 以前より全国的に行なわれてきました、経営実態調査等の調査結果が反映された改定(案)になっていると個人的に感じます。

 

 下記に単価の比較と収入に対する影響額について、簡単ですがシミュレーションをさせて頂きました。

 

●介護福祉施設サービス基本単価(一部抜粋:広域型・多床室及び従来型個室)

区 分

改定前(現行)

改定(案)

改正前との差異

増減率

備 考

要介護1

547単位

557単位

+ 10単位

101.8%

 

要介護2

614単位

625単位

+ 11単位

101.7%

 

要介護3

682単位

695単位

+ 13単位

101.9%

 

要介護4

749単位

763単位

+ 14単位

101.8%

 

要介護5

814単位

829単位

+ 15単位

101.8%

 

  • 年間収入の影響額は約+3,000千円となります。(60名・年間365日・平均要介護度4・その他地域・年間稼働率98%で試算)

 あくまで目安ですが非常勤職員2名分の年間人件費ぐらいでしょうか。

 

 その他にも加算・減算の見直しがあります。中でも「入所者の医療ニーズへの対応」「排泄に介護を要する利用者への支援に対する評価の創設」「介護ロボットの活用の推進」等、時代背景を映し出すような加算も新設されています。

 

  • 通所介護基本単価(一部抜粋:通常規模型事業所)

区 分

 

改定前(現行)

7時間以上9時間未満

改定(案)

7時間以上8時間未満

改正前との差異

改定(案)

8時間以上9時間未満

改正前との差異

要介護1

656単位

645単位

△ 11単位

656単位

変更なし

要介護2

775単位

761単位

△ 14単位

775単位

要介護3

898単位

883単位

△ 15単位

898単位

要介護4

1,021単位

1,003単位

△ 18単位

1,021単位

要介護5

1,144単位

1,124単位

△ 20単位

1,144単位

  • 年間収入の影響額は約▲945千円となります。

(30名・年間300日・平均要介護度3・その他地域・年間稼働率70%・7時間以上8時間未満で試算)

 サービス提供時間の見直しが行なわれた通所介護では、どのサービス提供時間を選択するかが課題となります。「7時間以上を選択すれば減収が懸念される?」「8時間以上を選択すれば人件費が増加する?」「加算を算定して基本単価減収分をカバーする?」等、様々な検討要素が出てくると思います。

 

 この度の介護報酬の改定(案)を見ながら、次年度の事業計画は、報酬改定も踏まえ、法人の「理念・方針」、「強み・売り」、「世の中から何が必要とされているのか」等を考えて頂きながなら、作成をして頂く絶好の機会だと感じました。

 

 本レポートは平成30年1月26日の「社保審-介護給付費分科会」の資料を基に一部抜粋を行ない作成をしたもので、全てを網羅したものではありません。また、今後、変更となる可能性があります。ご了承くださいませ。

 

株式会社 経営開発センター 福祉経営部 松本 和哉

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