レポート:111『全国経営指標のご紹介と 指標を活用した財務分析』

 梅雨入りを迎え雨の多い時期となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。社会福祉法人様につきましては、決算書の作成が一段落し、評議員会や各種提出資料の作成にお忙しいのではないでしょうか。

 今回は決算書を用いた法人の財務分析に関する内容をお伝えしたいと思います。平成28年度の決算書より、福祉医療機構の電子開示システムにて計算書類を公開することになったかと思います。そのデータを集約した、財務分析に活用できる経営指標が公開されておりますので、一部をご紹介させていただきたいと思います。

 

○平成29年度 社会福祉法人の現況報告書等の集約結果(全国平均)

項目

算定方法

指標

内容

合理性・収益性

サービス活動収益計(A)

事業活動計算書より

 

 

人件費比率

人件費÷(A)

66.5%

収益に占める人件費の割合

(人件費比率・業務委託費比率)

(人件費+業務委託費)÷(A)

70.5%

収益に占める人件費・業務委託費の割合

事業費比率

事業費÷(A)

14.0%

収益に占める事業費の割合

事務費比率

事務費÷(A)

10.0%

収益に占める事務費の割合

経常増減差額率

経常増減差÷(A)

4.0%

収益に対する経常増減差額の割合

安定性

現金預金(B)

貸借対照表より

 

 

事業活動収入計(C)

 

資金収支計算書より

 

 

事業活動支出計(D)

 

 

事業活動資金収支差額(E)

 

 

正味金融資産額

現金預金+有価証券+定期預金+投資有価証券+積立資産-運営資金借入金

262,427

千円

法人の保有する金融資産の純額

現金預金対事業活動支出比率

(B)÷((D)÷12)

4.0ヶ月

事業活動支出(月平均額)に対する現金預金保有額の割合

債務償還年数

借入金残高合計÷(E)

4.1年

事業活動資金収支差額に対する期末の借入金残高の割合

事業活動資金収支差額率

(E)÷(C)

8.2%

 

自立性

自己収益比率

((A)-補助金事業収益-
経常経費寄付金収益)÷(A)

95.0%

サービス活動収益に占める自己収益の割合

 

 全国の法人の指標ですので規模や地域などの差異はございますが、それでも全国平均と自法人とを比較できる貴重な経営指標です。まずは全国平均との対比を行うことで、自法人の全国平均との差異を数値面からご確認していただき、今後の経営課題の発見にご活用いただければと思います。

 より踏み込んだ財務分析の方法としては、自法人の前年度や前々年度の数値と並べてみることで、過去からの事業実績の推移を数値で確認することができます。そこに定員数や稼働率、職員数の推移も加えることで、より一層経営の役に立つ財務分析資料となるのではないでしょうか。

 決算書は1年間の事業活動の集大成とも言えるものです。この機会に是非指標との対比や前年度との対比をすることで、経営の手助けにしていただければと思います。

株式会社 経営開発センター 福祉経営部 山口 恭右

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