皆様におかれましては、社会福祉法人改革に伴う関係政省令等の確定が遅れていることで、“イライラ”が募っている方も多いのではと思います。私もその内の一人です。
この度は、平成28年6月20日に発出された「社会福祉法人制度改革の施行に向けた留意事項について(経営組織の見直しについて)」より、役員等の社会福祉法人に対する損害賠償責任の免除について取り上げたいと思います。
改正社会福祉法では、役員等の社会福祉法人に対する損害賠償責任については、「理事、監事、評議員又は会計監査人は、社会福祉法人に対し、その任務を怠ったことにより生じた損害を賠償する責任を負う。」とされています。(法第45条の20第1項)
なお、評議員には業務執行権がなく、評議員会という会議体の構成員としての任務を行うものであるから、個々の評議員の任務懈怠により法人に直接損害が発生するケースは少ないと考えられています。
本通知の中で損害賠償責任の免除について以下の3種類が規定されていますので抜粋し紹介します。
(ア)総評議員の同意による免除 |
理事、監事、評議員又は会計監査人の社会福祉法人に対する責任は、原則として総評議員の同意がなければ免除することができない。 |
(イ)評議員会の特別議決による一部免除 |
法人に対する損害賠償責任を負う理事、監事又は会計監査人が、その職務を行うにつき、善意でかつ重大な過失がない場合には、その賠償責任を負う額のうち、理事、監事又は会計監査人が社会福祉法人の業務執行の対価として受ける財産上の利益の1年当りの額に以下の数を乗じた額(最低責任限度額)を超える部分については評議員会の議決により免除することができる。 ①理事長 6 ②業務執行理事 4 ③理事、監事、会計監査人 2 |
(ウ)理事会の議決による一部免除 |
社会福祉法人においては、理事、監事又は会計監査人の責任について職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がなく、その原因や職務執行状況などの事情を勘案して特に必要と認める場合には、その賠償責任を負う額のうち最低責任限度額を超える部分について理事会の決議によって免除することができる旨を定款で定めることができる。 |
なお、上記のうち(ア)(イ)については、定款への定めは不要ですが、(ウ)理事会の決議による一部免除は、「定款で定めることができる」とされており、定款に規定しなければ、効力を生じさせることができない事項であり、重要なテーマとして研究が必要かと思います。
株式会社 経営開発センター 野崎 悦雄 |