社会福祉法人さまに関する業務に携わるようになり1年が経ち、今回からレポートの執筆を担当させていただく機会を得ることができました。皆様のご支援をさせていただく中で感じる印象的な物事を、私自身の視点を加えてお伝えできればと思っております。
さて、24年度も3分の1を終えようとしていますが、皆様におかれましては決算業務に加えて報酬改定への対策や計画停電への対応など例年になく多忙な日々であったことと思います。 そうした中で、作成した決算書などを用いて実績を検討し、自法人の現状を再確認する作業は、ともすれば後まわしになりがちではないでしょうか。そのための一助として幣社で独自に集計した経営指標をご紹介したいと思います。
法人の現状を分析していくためには①時系列(過去の決算書)での比較、②他法人との比較という2つの視点が欠かせません。下記の指標は②の比較を行うための資料で、それを通して法人の位置(ポジション)を把握するきっかけとなるものです。
【H23年度経営指標】(弊社関与先を集計)
※資金収支計算書より経常収入計を100%とした構成比(経理区分間・会計単位間繰入金は除く)
こうして上記の指標を見てまいりますと人件費比率の高さが印象的です。幣社が老人福祉施設さまの経営指標の集計を始めて10年間になりますが、人件費比率は14年度(55%)⇒23年度(61.1%)と増加傾向が続いています。 ただ人件費については職員の皆様のモチベーションへの影響などを考慮した場合、低減にはリスクを伴う項目です。 そこで、収入の増加による効率性のUPという課題が出てきます。しかし一言に収入を増加させると言ってもピンとこない方もおられるのではないでしょうか。
実際、私が部門責任者の方に決算報告を行った際に感じたことですが、「来期の目標は収入額を××万円増加させることです」とご報告してもその反応は良いものではありませんでした。それが「稼働率であれば××%の増加、利用者数であれば××人の増加」と単位を変えてご報告した際にはそれまでの反応とは違うものが返ってきました。
このように部門責任者にとって分りやすい単位で設定した目標は、具体的でより現場に近いものとなり達成への道筋も見えやすくなるのではないでしょうか。 今後の皆さまの益々のご発展を心よりお祈りしております。 株式会社 経営開発センター 福祉経営部 芳賀 亘 |