レポート:86号『決算書作成全体の工程把握による効率化』

 3月もいよいよ終わり、会計期末が近付いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。予算・理事会対応とご多忙な方も多かったのではと思います。それで多忙な時期が終わればよいのですがそうはいかず、次は決算への対応が待っています。

 今年度から新会計基準に移行された法人様は、新会計基準での初めての決算となります。作成すべき財務諸表のご確認など、事前の備えを十分に行ってから決算書作成に取り組んで頂ければと思います。

 そこで決算書作成を直前に控え、決算書作成までの工程をまとめました。事前に目指すべきゴールとそこに至るまでの過程を確認することで、決算書の作成をスムーズに進めていただければと思います。

 

○決算業務の工程と内容

項目

内容

.3月分月次試算表の作成

.決算事前準備事項

□現金預金・固定資産・借入金の残高照合

□年度内に精算すべき貸付金・借入金、仮払金・立替金の精算

.決算整理事項

□流動資産、流動負債の整理

□共通収入・支出の配分

□固定資産の処理(廃棄、寄附金物品受入、減価償却、国庫補助取崩)

1年基準適用による固定資産・負債から流動資産・負債への振替

□借入金の使途・担保資産の調査

□基本金の計上

□国庫補助金等特別積立金の積立

□積立金の積立

□引当金の計上

 ・徴収不能引当金、賞与引当金、退職給付引当金

□内部取引の消去

□その他法人特有の決算整理事項

.決算整理、決算修正仕訳

.決算報告書の作成

□財務諸表、財産目録、附属明細書等

 

 決算作業全体の工程を把握してから作業を開始することで、下記のような効果があります。

 

○決算作業の全体把握によるメリット

.作業工程の明確化

□決算整理事項・決算整理処理の漏れ防止

□必要な財務諸表・附属明細書等で作成すべき書類の抜け防止

□作業工程の標準化による業務分担の推進

□初期工程の抜けによるやり直しの防止

.スケジュールの明確化

□理事会や監事監査からの逆算による、各工程の締切日の明確化

 

 作業工程全体を認識せずに決算作業を進めてしまうと、もし決算事前準備事項や決算整理事項で修正があった場合に、それ以降の作業工程に大きく影響し、最悪の場合ですと初めからやり直しになってしまう場合もあります。決算作業の第一歩として、工程全体のご確認・スケジュールのご確認からスタートしていただくのをお勧めします。

株式会社 経営開発センター 福祉経営部 山口 恭右

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