レポート:64号『生涯生計費2.4億円!』

 先月末から夏の到来を思わせる季節になってまいりましたが、みなさまにはお変わりなくご健勝のこととお慶び申し上げます。25年度事業計画の総括・25年度決算・26年度事業計画策定・26年度当初予算編成・理事会の開催等、社会福祉法人経営の超繁忙期を完了されて、ちょっと一息といった状況かと存じます。

 さて、今回のレポートは20歳代・30歳代の若いスタッフへの動機づけについて報告いたします。私も社会福祉法人経営のご支援をする中で若いスタッフの方と接する機会が多いのですが、一般的な特徴として担当されている職務についてはしっかりと責任感を持って職務を推進されていますが、自ら新しい業務開発や業務改善に取り組み、主任・課長を目指していく上昇志向が少ないような印象を受けます。職位に就くと責任が重くなり大変そうでイヤというのが本音のようです。しかし、施設経営の未来を考えるとき次代を担う若いスタッフがもっと積極的に施設の未来創りに取り組んでいただく必要性を痛感いたします。それには若いスタッフを動機付けする必要があります。しかし施設の未来のために期待していると伝えても実感として共感は得られないのも事実のような気がします。

 そこで、あなた自身の未来創りのためにがんばってみませんかというアプローチを考えました。

 下表は30歳の男性スタッフの人生設計モデルとそれに必要な生涯生計費モデルです。子供2人で大学まで進学、マイホーム取得、平均寿命まで生きることを前提条件にすると、何と生涯生計費は2.4億円になります。決して特別贅沢なモデルではなく標準的なモデルです。

 確かに若いスタッフにとって今は現状の年収額で不自由はないでしょうが、視点を5年先・10年先・20年先に置くと、話は変わってきます。もっと頑張って年収額を上げていかないと、という気づきに結びつきます。それこそが動機づけになると考えています。それでも今のままで良いというスタッフもいます。そんなスタッフには人生設計を変更することを薦めています。それは60歳になったら夫婦ともに人生を終了させる設計に変更すれば何とかなるというものです。自分が理想とする人生設計を歩んでいくためには、それなりの生計費が必要であり、それが切実な現実であること、そして生涯生計費は自分自身の年収額でたたき出していくしかないこと、さらには年収額を上げていくためには能力を上げていくしかないこと、能力を上げるとは昨日できなかったことを今日できるようにする、今日できなかったことを明日できるようにすることでしかない現実を示すことだと思います。

 私も実際に施設スタッフ研修の中で、このモデルを使ってご自身の生涯設計モデルを作っていただいていますが、受講者に感想を聴きますと現実問題として考えなおす必要があるとコメントされています。

 施設のためにではなく、自分自身のためにがんばってみませんかというアプローチは有効であることを再確認させていただきました。ぜひ御社の期待される若いスタッフに生涯設計モデル作成を薦められてはいかがでしょうか。

(株)経営開発センター  文責:阿野英文

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