皆様におかれましては5月中は決算や理事会で非常に多忙な日々を過ごされたことと思います。 そうした中、厚生労働省が政府の規制改革会議にて社会福祉法人が財務諸表を公開するよう指導強化していく考えを表明しました。すでにホームページ等で財務諸表等の情報を公開されておられる法人様もおられることと思いますが、今後の展開が気にかかる法人様も多いのではないでしょうか。
改めて経過を振り返ってまいりますと、5月2日に規制改革会議にて提出された見解にて「社会福祉法人の経営の透明性向上は必須である。経営の透明性を高めるために、社会福祉法人の経営情報を公表するとともに、その内容を分かりやすく改善すべきである」という指摘がなされました。 これに対して、厚生労働省は「財務諸表等の情報を公表することは、経営の透明性を確保するために重要なことと認識しており、全ての法人において何らかの形で財務諸表の公表が行われるよう、更なる指導を行っていく」とする考え方を示しました。 社会福祉法人だけでなく公益法人や学校法人、独立行政法人等、一定の公共性・公益性を有する法人については経営の透明性を強く求めることが最近の社会全体の趨勢のようです。一方で、日々利用者様と向き合い健全な経営をなされている法人様にとってはそうした風潮に若干の違和感を持つこともあるのではないでしょうか。しかしながらそうした日々の活動を続けていくのみならず、その現状を積極的に開示していくことが求められているようです。
そもそも決算書の重要な役割には法人の経営管理に役立てるという役割とともに、外部に法人の現状に関する情報を提供するという役割があると思います。しかし適切な情報を提供するためには事前に準備が必要です。具体的な方法はいまだ確定していませんが、一度広く社会全体に財務諸表等の情報を公開するということを念頭において決算書を総点検してみてはいかがでしょうか。 その際の主なチェックポイントとしては、 □ 決算書は適用している会計基準の様式に従って不足なく適正に作成されているか □ 資金収支計算書、事業活動収支計算書(事業活動計算書)、貸借対照表間の整合性は保たれているか □ 決算書の一部である脚注、注記には適正な記載がなされているか □ 附属明細書(附属明細表)は適用している会計基準に従って不足なく適正に作成されているか □ 財産目録についても他の決算書と整合性を保ち適正に作成されているか などが考えられます。 今回のような機会にも皆様におかれましては事前にしっかりと準備をしていただき、ぜひ適切な情報の公開を行っていただければと思います。 株式会社 経営開発センター 福祉経営部 芳賀 亘 |