レポート:第38号決算業務の進め方

 

 4月に入り新年度が開始し、新入職員さまの受入れ等で慌しく過ごされている法人さまも多いのではないでしょうか。あと1ヶ月も経たない内に、事務方さまには1年で1番大変な決算業務が控えられております。この度は、『効率的』かつ『正確』に決算業務を進めるために、今まで私が決算業務をお手伝いさせて頂いた経験を基にレポートさせて頂きます。

 進め方のポイントといたしましては、①事前準備②決算処理③チェックの3工程に分かれます。この中でも1番大切なのは①事前準備です。「えっ、大切なのは決算処理とかチェックではないの?」と思われる方も多いと思います。以前までの私もそう考えていました。その時の私は、ひたすらパソコンに向かい黙々と決算処理をこなし、優れたチェックリストを活用してチェックを行なえばそれで良いと考えており、実際はそれで正確な決算書が出来ていました。ただ、それでは『効率的』という視点が無く、他の業務が疎かになっているのが事実でした。

 

 そこで事前準備に力を入れることで、決算処理中の資料不足によるロスタイムを無くし、また準備段階である程度の決算処理をイメージすることで、ゴール(決算書の完成)に向かって走り易くなりました。

 

 ただし、事前準備だけでは決算書が完成しないのも事実です。①事前準備⇒②決算処理⇒③チェック工程を下表にまとめさせて頂きました。(紙幅の関係で一部抜粋となります)

 

 

①事前準備の工程

②決算処理の工程

③チェックの工程

□決算スケジュールの作成

(何時までに何を誰がするのか等?)

□残高証明書の発行依頼及び取得

□銀行残高調整表の作成

□経過科目(未収金・預り金等)の整理

□県社協等退職共済の会計処理に関する書類準備

□貯蔵品等のたな卸し(必要な場合のみ)

□固定資産物品の現物確認

□借入金残高及び使途・担保資産の確認

□寄付金及び寄贈品の確認等

□各種経過科目明細表の作成

(未収金、預り金等)

□共通収入・支出の配分(按分処理)

□固定資産の廃棄処理

□減価償却、国庫補助金等の取崩し計算

□積立金の積立処理及び取崩処理

□徴収不能、退職給付引当金処理

(繰入れ及び戻入れ)

□基本金への組入れ処理(必要に応じ)

□決算附属明細表の作成等

□現金預金残高の一致

□未収金・未払金の計上漏れの確認

□計算書類の整合性の一致

□前期決算額繰越の適正性の確認

□内部取引で使用する勘定科目の一致

□経理区分間及び会計単位間の繰入金収入・支出の一致

□積立預金積立支出(取崩収入)と積立額(取崩額)の一致

□BSと財産目録の金額の一致等

 

 

 上記で全てを網羅することは出来ませんが、是非ご参考にして頂き貴法人さま用に工程表をカスタマイズして頂ければと思います。

 

 決算業務の工程に『①事前準備の工程』を意識的に取り入れることにより、効率的な決算書の作成が実現し、その後工程(③チェックの工程)にも時間を割くことができ、より正確な決算書の作成を目指すことが可能となりました。

 

『事前準備8割・実践2割』という言葉の通り、事前準備の大切さを常日頃より実感しております。

 

木を切り倒すのに8時間与えられたら、私は最初の6時間を斧を研ぐのに費やす

~ 第16代アメリカ合衆国大統領 エイブラハム・リンカーン ~

 

算作業に向けてから準備しておくべき事項は何ですか?

 

文責:株式会社 経営開発センター 福祉経営部 松本 和哉

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