レポート:第47号『新会計基準への移行に係る仕訳処理』

 明けましておめでとうございます。今年も当レポートでは福祉施設さまのお手伝いをさせていただく中で感じる事を皆様のお役に立つ情報としてご提供させていただきたいと思います。

 さて平成25年度から新会計基準への移行を予定されている法人さまにおいてはそろそろ移行への準備が具体的に動き出す頃かと思います。改めて移行完了までのフローを確認していただきたいと思います。

 

【移行完了までのフロー】

概 要

内 容

①基本設定

事業区分・拠点区分・サービス区分の設定

②経理規程の検討

経理規程、勘定科目別表の改正

③次年度予算の作成

新会計基準に基づく予算の作成

④移行年度期首の貸借対照表の作成

移行時の拠点区分別の貸借対照表への組み替え

⑤移行に係る仕訳処理

有価証券、ファイナンス・リース、第4号基本金の調整等

 

 上記①~④を終えると、実際に新会計基準での日々の会計処理をしていただく準備がひとまず整うこととなりますが、それに先立って必要に応じて『⑤移行に係る仕訳処理』を実施しなければなりません。旧会計基準からの変更がある事項や新たに導入された会計手法を調整するための会計処理を、期首における仕訳にて行なっていただきます。

 以下の場合については注意が必要ですので項目にチェックをいれつつご確認いただければと思います。

 

『移行に係る仕訳処理』が必要な項目

留意事項(原則的な処理等と例外の有無)

①国債や株式等の有価証券を保有している。

・満期保有目的か否かで処理が異なります

②ファイナンス・リース取引契約によるリース資産が存在している。

・原則:契約開始時、又は移行時のリース料支払残高に応じた処理が必要です

・例外:「調整なし」も選択できます

③独自で退職金制度等を設けている、あるいは都道府県の退職共済制度に加入している

・退職給付引当資産及び退職給付引当金への計上が必要となります

④徴収不能引当金、賞与引当金、退職給与引当金以外の引当金が存在している。

・左記の3つ以外の引当金は全額取崩しが必要です

⑤第4号基本金が存在している。

・全額取り崩しが必要です

⑥国庫補助金等特別積立金の取崩計算(指導指針に準じた会計処理を行っている法人を除く)。

・原則:減価償却費の計算方法に合わせた国庫補助金等特別積立金取崩額へ調整が必要です

・例外:処理が必要ない場合があります

⑦設備資金借入金元金償還補助金を受領している(指導指針に準じた会計処理を行っている法人を除く)。

・原則:当該補助金につき国庫補助金等特別積立金の計上及び取崩しが必要です。

・例外:処理が必要ない場合があります

⑧授産施設会計基準、就労支援会計基準を用いていた法人において工賃変動積立金または設備等整備積立金以外の積立金を計上している。

・当該2つの積立金への振り替えが必要で上限額を超える部分については『就労支援事業移行時積立金』を積み立てます

 

 原則として以上の8つの項目に関してあてはまるものがあれば何らかの『移行に係る仕訳処理』を実施する必要があり、法人さまの状況によって必要とされる処理は実に様々です。

 『移行に係る仕訳処理』については移行年度の期首にしか仕訳処理を行うことができないものとなります。慎重に確認と検討を行ないスムーズな移行をしていただければと思います。

株式会社 経営開発センター 芳賀 亘

カテゴリー: NEWS&TOPICS, 最新情報, 福祉セミナー&トピックス, 福祉経営コンサルティング, 福祉経営コンサルティングレポート   パーマリンク